世界の旅 カンボジア王国:シェムリアップとプノンペン

2016.11.04-11.08 全日空で往復 宿泊はKouprey Hotel(シェムリアップ) / Pacific Hotel(プノンペン)
▼4日 シェムリアップへの到着  JICAに出向しプノンペンで仕事をしている学生時代の友人が、9月からANAが成田との間に直行便を就航させたので遊びに来いという。HISもそれに合わせてツアーを組んだので都内で仕事をしている友人と供に旅に出た。因みに料金は空港使用料や一人部屋加算も加え98,980円であった。
 
 巌根駅から6:52の列車に乗り8:32に成田空港に着く。友人と合流して10:50の便で出国し、「後妻業の女」を見て、寝ているうちにプノンペンに到着。ここで国内線の乗り継ぎが4:20も有るので空港の外に出ると目の前に吉野家が有った。交通量の多い道路を横切っても気の利いた店が見あたらず、吉野家に戻る。メニューが通貨のリエルでなくドル表示なのは空港だからかなと思いながら日本より高い$4の牛丼を食べてビールを飲む。シェムリアップへの飛行機は50分も遅れ、空港に到着したのは21:35でありホテルの部屋に入ったのは22:50となり日本時間では24:50である。家を出てから18時間以上の長い移動で疲れて夜の街散策もせずに広い一人部屋で速やかに寝た。
▼5日 シェムリアップ観光ツアー  目覚めてみたら綺麗なリゾートホテル風であるが、目前の道路は未舗装で水たまりも有る。朝食後に散歩する気にもなれず8:40にピックアップされる。一組の夫婦の他は女性のグループが5組ほど居て、男二人である我々は一人掛けの椅子で前後に着席した。
 まずは顔写真入りの入場チケットを購入に行くと大変な混雑に驚かされる。我々は1日の観光であるが、同じバスには翌日も観光する2日券を購入する者も混じりガイドさんは整理が大変そうである。
 チケット購入後、アンコールトム遺跡にある南大門を見て、バイヨン寺院でバスを降り、12世紀後半に作られたリリーフや像を見て回る。世界中から多くの観光客が訪れ大変な賑わいである。10年ほど前には日本人の観光客が一番多かったが、直行便が就航した中国や韓国の観光客が急激に伸び、隣国のタイやベトナムのお客も増えた結果、日本の順位は7位に成っていると聞いた。確かに遺跡の上でも大声で話し道を譲らない中国人の姿を多く見た。
 バイヨンを見終えてからバプーオンやピミアナカスを眺め、王宮を通過して象のテラスまで歩く。友人は2日前に群馬県のマラソン大会でフルマラソンを走り終えているのに筋肉痛も現れず元気で感心する。バスに乗ってタプロムに移動してガジュマルの根に覆われた遺跡を観光する。参道には内戦の被害者と思われる手や足のない障害者が音楽を奏でて寄附を求めており、小さな子供がお土産を買って貰おうと寄ってくるが、万里の長城の土産売りに比べると静かなものである。
 午前中の観光を終え、アンコールクッキーの売店に立ち寄ってから昼食になり$3のビールを2人で2本飲む。午後のアンコールワット観光は15時からとするので、それまでお昼休みにするという事で一旦ホテルに帰る。日本の真夏より過ごしやすいとはいえ、熱帯の昼間は休憩することも重要だと思いWiFiからFacebookをアップしてからカメラを充電しつつ昼寝をする。
 午後3時に再度ピックアップされ、念願のアンコールワットへ入る。午前中の遺跡にも感動したが、やはりアンコールワットは別格に大きく凄い。夕立が懸念されるからと傘を渡されてから歩き始める。遠く参道から見えていた塔が近づくと回廊で隠され、それを抜けると近くに現れと、視点の変化を考えた配置は心憎いばかりである。入場制限が掛けられている第三回廊を巡り、東側に回って夕日のシルエットを見て、西に戻って水面に映る5本の塔を鑑賞し、お堀に出たところで夕やけの鑑賞をするなど、時間配分も申し分ないツアーであった。
 日本人の経営する焼き菓子の店に立ち寄った後で夕食会場に着く。オールドマーケットの隣にあるイエローマンゴーという店で、クメール料理を食べた後で伝統舞踊を見るというコースであったが店の窓からは川の向こうにナイトマーケットが開かれている事が解る。舞踊より市場の雑踏が好きな私達は一緒に行くという女性達を連れて散歩に出かける。シャツや雑貨を値切って買うと、一緒に行った娘さんから自分が買った値段の半額以下だ、買い物の天才だと感心され、妙に気恥ずかしくなる。
 食事後はHISの手配するマッサージ店に行くという友人と別れホテルの近くのコンビニ前でバスを降りる。現地の人達しか買いに来ないような店でも通貨はドルで、1$以下のお釣りとしてカンボジアリアル札が返されるというシステムに、この国の通貨発行はどうなっているのだろうかと気になる。コンビニでは缶ビール4個とおつまみを購入する。アメリカドルでなく13500リアルを払う。日本円に換算すると約340円である。レストランのビールの大瓶も$3と安いが消費者物価はそれ以上に安い事を実感する。治安の良さを感じながら夜道を歩いて帰り部屋に入ったのは22時を回った頃だった。14時間に渡る観光となったし、日本時間では午前0時を回っていたので缶ビールを飲んでシャワーを浴びて直ぐに寝てしまった。
▼6日 ベンメリア観光とプノンペンへの移動  この日は夕方まで自由行動なので日本にいるときにホットホリデーのHPからベンメリア遺跡半日観光を申し込んでいた。ツアーはクロマーヤマトという会社が催行し、遺跡の入場料$5を含まず$35のツアーであった。因みに現地でセールスしていたHISの同様のツアーは$70であった。
 ホテルを7:40にピックアップされ、一人旅の女性を二人相乗りさせて70km離れた遺跡までベンツのワゴンで移動する。幹線国道を離れても道路が舗装されていたことに驚くとともに、何故泊まっているホテルの前は未舗装なのか不思議に思う。舗装されていても郊外に行くと貧しくなりトラクターや牛車で移動する多くの人を見るようになる。都市の工場労働者が月7千円程度の収入なので農村は現金収入を得るのが困難であることも理解できる。
 「天空の城ラピュタ」のモデルと噂されるベンメリア遺跡は正面でなく静かな横の道から入り、崩れた遺跡の中を探検するように散策する。これは楽しいと思ったが中心部に出ると中国人の団体さんと一緒になり、木道も整備され若干興ざめする。
 遺跡を出て帰り道に一般の民家に立ち寄る。高床式で電化されておらず、水は雨水を瓶に溜めて利用しているようだ。家の見学に幾ら払っているのか聞き忘れた。
 国道に戻って往路で気になっていた道端に並ぶ屋台に立ち寄ってもらいクロランという竹筒に入ったココナッツミルク味の小豆入り餅米の、ちまきのような物を買う。金額は2000リアル(約50円)であるが甘くて美味しい。同行した女性達も予定外の行動に喜んでいた。
 ツアーはホテルに帰ることが基本であるがオールドマーケットで降ろして貰い、市場を見学して食事を摂り、トゥクトゥクをチャーターしてカンボジアの負の遺跡であるキリングフィールドへ行く。ポルポト政権下で行われた大量虐殺の処刑場跡に建つ遺骨を納めている御堂に遠くない過去に起きた過ちを目に焼き付けた。
 ホテルに帰って16:40のピックアップを待ち、18:00の飛行機でプノンペンに移動。友人と待ち合わせた店までトゥクトゥクで移動し、合流して夜遅くまで酒を酌み交わした。
▼7日 プノンペン観光・日本への帰国  日本時間の6:30に目が覚めるがカンボジアでは夜が明けていない。それでも一人で散歩に出かけ、首相官邸のライトアップや鉄道の駅、カンボジアで最も高いオフィスビルなどを見てホテルに戻り、起きてきた友人と朝飯を食べる。チェックアウトを済ませ9:00に来たHISのガイドの案内でプノンペン市内観光を始める。
 まずは王宮と,シルバーパゴダ、国立博物館を見学する。昔のクメールは東南アジア一帯を支配する大国であったが、今ではタイが独立して大きな領地を占め、ベトナムにメコン川下流域を占拠され小さな国になってしまったと悔しそうな話を聞く。レストランに入りWiFiを起動して昼食を食べ始めると仕事をしているハズの友人から昼を一緒にしようとLINE電話で誘われるが時既に遅し。前夜の内に言えよ、と思いながら昨夜のお礼を伝える。
 食後はレストランから歩いてセントラルマーケットへ行きイミテーションの世界を見学する。首都の中心の大きな市場で、堂々と偽物が沢山売っている姿にカンボジアの逞しさを感じる。車でワットプノンへ移動して見学した後、私の我が儘で通称日本橋を見学し,橋の東側にある中国の設置した記念碑に比べ遙かに見劣りする日本の記念碑を観させて貰う。大理石であるが日の丸の赤も抜け落ち、貧弱なことに胸が痛い。NIPPON STEELの名前も刻まれていたし、せめて墨入れでもすれよいのにと思う。
 その後、ワットウナロム近くの下町を巡り、車窓から独立記念塔を眺めつつ皆の希望で2年前に開業したAEONへ移動する。ツアーに含まれていないが客も2組4人であり、臨機応変に対応してくれて有り難い。イオンの近くには昨年開業の東横INが聳え、近くにも20階を越える高層ビルの建築が多く見え、プノンペンはバブルに突入していると感じてガイドに聞くと、500mを越えるビル計画もあるようだ。人口250万の都市には不必要であろう。それにしても昨日見た電化も進んでいない地方との格差は凄まじい。
 AEONのレイアウトは木更津と同じように吹き抜けの通路の両側に店舗が入り、片側の最上階が映画館、反対側がスーパーとしてのイオンというスタイルであったが4階建てで、屋上には駐車場も設けられていた。店には若者の姿が多く、とても楽しそうだったのが印象的であった。
 夕方に王宮前のリバーサイドを散策し、17:30よりクルーズ船に乗りメコン川へ出ていく。対岸は暗く、ここに地下鉄でも通せば開発が進み高層ビルより経済効果が高いだろうと、ビールを飲みながら考えていた。クル−ズから戻って最後の食事を摂り、夜の街を一路空港へ向かう。
 プノンペン空港を22:50に飛び立った全日空機は日付の変わった06:30に成田空港に到着した。京成スカイライナーで会社に顔を出しに行く友人と別れ、JRで帰路に着く。巌根駅に降りたのは朝の9:00で、シャワーを浴びてスーツに着替え、私も仕事に出かけさせて貰った。