アクアラインの値下げ方法について
2006/3/29記  
 明後日を持ってアクアラインの社会実験が終了し、4月1日からETCを使っても通行料金が現在の2,320円から3,000円になります。アクアラインを800円に、という運動もありますが、もう少し具体性を持った提言をしないと実現が困難であると考え、現実的な対応を考えて見ます。ただし、個人的にはアクアラインには有る程度の料金抵抗を残さないと東京神奈川から産廃を積んだトラックが押し寄せ、地元からは対岸へ経済的な流出が生じることになるだけなので、せめて2,000円は維持して貰いたいと思います。

1. アクアライン800円運動の弱点
 今の値下運動での致命的な弱点は『どうせ赤字なのだから採算は度外視しても良いでしょう』という点に有ります。値下げにより拡大する借金は税金で負担すべきだと言う論理は、木更津市民の同意を得ることは出来ても、東日本高速道路株式会社に一方的に赤字を負わせる事になり、多くの国民の理解を得ることは出来ません。
 アクアラインで今回の論理が通ると『作ったもの勝ち』の状況になり、より問題の奥が深い本四架橋公団も同様の方法で解決するしかなくなり、道路4公団民営化委員会での合意事項である国民の税金を投入しないという方針に反します。
 さらに言えば、これの建設を推し進めた地元の責任が問われないモラルハザード状況であり、これは道義的に避けなければなりません。

2. 値下げに耐えられる方法
 アクアラインを値下げしても国民に迷惑を掛けない方法は、値下げしても黒字となる体質を作ることです。アクアラインの年間の赤字は、建設費の償還と金利負担が主な原因であり、維持管理費は比較すると軽微な問題です。もちろん照明の照度を落とすとか清掃の頻度を下げるとか、維持管理の契約単価を見直すなどの合理化も必要ですが、根本的な問題である金利に踏み込むべきです。
 銀行の市中金利がほぼ0の時代に、アクアラインは3%を超える(多分4.5%程度)の金利を返済しています。工事費1兆5千億円から考えると3%としても年450億円。日に1億2329万円、時間当たり514万円、毎分約9万円となる金利では、乗用車3,000円でも2秒に1台の通行が必要となり、通行料金で返済することが不可能なのは明らかですので、何より金利軽減措置に取り組むべきです。
 具体的には政府金利保障のアクアライン債権を発行し、それを房総半島住民が負担するという案はどうでしょうか。市原−茂原以南には約100万人が生活していますので工事費全額を単純に割ると一人150万円で、3人世帯では約500万円を負担します。これが負担できない市民は権利を売却できるようにすれば良いかと思います。
 保障金利を1%とすれば国債より有利ですので短期的には国内の多くの資産家が欲しがる事は必至でしょう。ペイオフ対策としても有効です。道路公団としても年間300億円以上の負担軽減になり、その分通行料金を下げられるはずです。デメリットは市中金利が上昇した時に損な債権となりますが、それが誘致を進めた地元の責任という姿勢が必要でしょう。
 100万円の債権を購入した人には年に4回の乗用車往復通行券を配布する(24,000円相当:2.4%の配当に相当する)というサービスも考えられます。

3. 端的に値下げをさせる方法
 税金も負担せず、債権も発行せずに合理的に値下げする方法として、アクアラインを高速編入して全国一律のプール制に入れてしまうというウルトラCは有ります。料金も1000円以内で納まるでしょう。もちろん国土幹線道路審議会などの政府決定を通す必要が有りますが、それに向けた気運を議会決議などで作っていくという手はあります。ただ、地元の責任を棚上げしたモラルハザード的な状況は否定できませんし、新規建設資金が回らなくなるために建設業界の反発も当然生じる問題かと思います。