竹島問題に思う日本国について
2006/4/22記
 先日から竹島周辺の測量を行う事に対して韓国による日本政府船拿捕という事態が起こりかねない状況になっています。日本側の言い分としては竹島は日本固有の領土であって自分の領海を測量するのに何の許可が必要かと言う物であり、韓国側は独島(竹島)は元々韓国に属していたが日露戦争で事実上韓国の主権が制限されたときに島根県に編入されたものである現在の実行支配は正しい形であり測量という主権侵害行為を行うのは認められないという事になっています。竹島周辺のでの調査は過去に日韓双方とも実施していることは朝鮮日報の記事にあるように韓国側も承知しています。

 今回の紛争の実状は、海洋測量が主権侵害なのではなく、海図の国際的な名称に韓国の名称を付けたい韓国と認められない日本の些細な衝突のように思えてなりません。日本海を東海と呼ばすために努力する韓国の姿勢も良く理解できませんがその問題は取りあえず置いておきましょう。

 近年分離したチェコとスロバキアはどちらも他方の植民地では有りませんでしたし、インドネシアから独立した東チモールにしてもそうでした。どちらも分離前の国民として扱われていましたから、台湾や朝鮮半島の状況を考えると植民地と定義するより日本の一部から主権を取り戻して分離独立したと考える方が自然だと思います。その視点で考える場合、日本から分離するときに竹島をどちら側に属させるのかと考えれば固有の領土という考えには至らないと思うのです。

 日本固有の領土という考えも日本の周辺部を回ってくると怪しく思います。琉球王国の所属を日本と清で協議したときに日本側から宮古島以西を清、久米島以東を日本にするような提案をしていますし、そもそも天皇家と関係ない歴史を刻んできた琉球は固有の日本と行って良いか解りません。同様に北海道もアイヌの酋長により統治されていた土地を僅か300年程度で大和民族が取り上げていった土地なので北方四島が固有というのも月の土地を勝手に登録しているアメリカのどっかの会社のように正統性に疑義があります。

 もちろん竹島の韓国による実行支配や千島列島のロシア支配が正当化できるわけでも無いのですから、領土問題だけでなく様々な当事者の主張を公平に両国の国民の前に並べて冷静な判断を仰ぐ場が有っても良いと思いますし、それはマスコミの責任で行われるべきだと思いますが、そのような番組を見ることはありません。

 北方領土は産業上の重要性が高いし日本のポツダム宣言受諾後も続いた戦闘で奪い取ったというソ連の非をロシアが正すためにも返還交渉を進めるべきであるし、問題解決の方法については岩下明裕著「北方領土問題」(中公新書)に詳しく書かれていることに賛同します。

 竹島については国家間で領海と漁業権を含めた帰属を明確に決めるべきで、例えば島が2個有るのだから双方が一つずつ所有する形態があっても良いでしょう。国際機関に判断してもらいそれに従うのが最前の佐久と思います。今は韓国のような単純なナショナリズムに訴える動きを止めなければ実際上の影響の少ない土地で失う面子と国民間の憎悪を生じさせる事になってしまうのでは無いでしょうか。