さぬきうどんブームの意味について
2006/5/9記
 既にピークは過ぎていますが、香川県の讃岐うどんがものすごいブームになっています。私も今まで2回ほど、いわゆる有名店巡りをやってきましたが確かに美味い上に安く、感動的です。

 さて、このブームの火付け役は『月刊タウン情報かがわ』に連載の「ゲリラうどん通ごっこ」なる記事と、それを単行本にまとめた『恐るべきさぬきうどん』による物である事は結構多くの人が知っていると思います。この本は元はローカル出版の本ですが、抜粋されて新潮文庫にもなったので入手は容易になっています。

 この本を読んで気づくことは、筆者(麺通団団長の田尾氏)が食事を取る消費者の側から、自分の個人的な趣味で美味しい、または面白い店を紹介していることです。この姿勢を作ることは意外に難しく、例えば行政や観光協会が依頼したら現在売り上げの多い店や老舗の看板に遠慮して、本当に良い物を紹介することが出来なくなります。情報誌の編集長でもあった筆者は広告収入に意見を左右されることもなく、およそ広告費を払えそうもないような店を、楽しい文章で暖かく紹介するので、その記事に触発されて香川県に出かける人が何万人と出ている状況になっているのです。

 地域を良くするための色々な行動も、諸般の事情に考慮して最大公約数のつまらないことを行うのではなく、生活を楽しむプロとしての私たち各個人の主観に基づいて、本当に楽しいものを楽しいと発信することが最終的に多くの人の共感を得ることが出来るのではないでしょうか。もちろん、その為に専門家や評論家の資格は必要なく、心のありのままを出すことが重要だと、このさぬきうどんブームに教えて貰いました。

 それに引き替え・・・・という言葉の後に続く様々な現象を如何に各自が実践していくかが問われているのではと思います。