北朝鮮の崩壊後について
2006/7/6記
 昨日、北朝鮮が日本海に向けてミサイルを7発打ち込みました。あれだけ外貨の乏しい国がドブに金を捨てるようなつもりで何発も打ち込むことが理解できませんが、理解できないことはそれ以上に沢山あり、基本的には国家体制が替わらない限り良くはなりません。

 ベルリンの壁が崩壊しソ連が解体された頃にドミノ倒しで北朝鮮も無くなると思っていましたが中国が支えて体制が残ってしまいました。東ドイツの崩壊がハンガリー・オーストリア国境から西ドイツへの国民の流出であったように中朝国境を越える脱北者を自由に韓国に行かせていれば良かったのですが、逆に取り締まり北朝鮮政府に引き渡すのですから問題です。

 中国にとっての韓国による朝鮮半島統一は、経済力のある民主主義国家と国境を接することを意味する事で、その結果として延辺朝鮮自治区の独立運動の発生やチベット等の民族問題が再燃するきっかけとなり得ますので緩衝地帯として、現体制の維持を考えるのでしょう。

 中国が支えても現状を考えると北朝鮮が継続できると思えませんし、そこに暮らす人々の幸せのためにも続けさせるべきではないと思います。しかし、本当にあの国が無くなって韓国による統一が可能でしょうか。

 外務省のHPによると韓国の 面積 約9万9,274平方キロメートル、人口 約4,725万人(2005年11月現在) です。一方の北朝鮮は面積 12万余km2、人口 約2,250万人(2003年)なので合併後は面積が2.2倍に、人口が1.5倍に成ります。これは東西ドイツが一緒になったときの面積が1.4倍に、人口が1.2倍に成った事に比べれば拡大規模が大きく、韓国の統治体制を急に拡大する事が困難であろうと推察されます。

 それより韓国のGNI 6,692億ドル(2004年)に対し北朝鮮は201億ドルと1/33しか有りませんからこの経済規模を単純に合計して総人口で割ると一人当たりGNIが 9,888ドルとなり現在の韓国の14,162ドルに比べて30%低下しますし、その事は国力の低下や失業率の増加などの不満を招くでしょう。一方の北朝鮮は一気に11倍になるので最初は歓ぶでしょうが、現在のドイツと同様に南北の格差が縮まらないことに不満を発生させるでしょう。

 そうなると朝鮮半島の統一にかかるコストや旧北朝鮮地区での社会資本の整備や雇用発生のための企業進出を日本に要望される事は明確です。また、それが進まないと多くの旧北朝鮮系の人が不法侵入も含めて日本に訪れ、最終的には治安の悪化につながることも容易に想像できます。そのような事から私は日本が増税措置を執ってでも北の整備費用を負担するべきだと思います。その結果、日本の産業界にとっても北朝鮮特需が発生し景気も拡大するでしょう。その為には特に建設業においての言語教育や人材育成などを今のうちに戦略的に進めるべきではないかと思います。

 また北朝鮮政府の存在を無視して、第二次大戦中のように脱北者による亡命政府を設け、開発計画や将来ビジョンを日韓と亡命政府で明確に出すことで北朝鮮内に居る反体制側の人達を勇気づけるような政策を採っていっても良いと思います。もっとも韓国が現在の太陽政策を止めることが前提になりますので難しい事でしょうが、早く安定した東アジアを作る事を考えるべきではないでしょうか。
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