外国人の研修生という安価な労働力の導入について
2006/8/20記
 矢那の牧場で中国人研修生が3人を死傷させ本人も自殺未遂を図ったという事件があった。新聞によると知人より給与待遇が悪いことに腹を立てて仕事をしなくなった所、中国に返されそうになり、その説得に来た人達が被害にあったようだ。当事者ではないので待遇がどの程度だったのか、その中国人の性格がどうだったのかは知る由もないが、一つだけ解っていることは研修生という名の安価な労働力が溢れていることだ。

 日本人の若者はニートだ、引籠りだと無収入で生きて居れる者がいる一方で、精一杯働いても日本人の最低賃金すら貰えない労働力も存在しているのが現在の状況である。
 研修生を雇用する側からは、厳しい職場には日本人が居着かないし、世間相場並の給与を払っていては国際競争で生き残れないという状況がある。その上、少子化が労働力不足に輪を懸けている。
 働かない若者は自分探しという綺麗事の裏に無気力を覆い隠し、それでいて大企業正社員との明かな格差社会で区別されていく疎外感を味わっている状況も有るであろう。だからといって起業したり世界に羽ばたく人間がごく少数なのは競争を排除する学校教育の悪い名残かも知れいない。それでも日本人である彼らには労働基準監督署の保護があって現状の研修生のような扱いを出来ない。
 研修生は差別されることが前提でも本国に比べ遙かに高い日本の賃金に憧れ、祖国を後にして来て、多くの人達は真面目に稼いで帰国するのであるが、極偶に今回のような事件を起こす者も現れる。平均的日本人の犯罪率と研修生の犯罪率の比較をしたものを見たことはないが一方的に研修生が危険だとは言えないことは多くの人が知っているであろう。

 今回、考えたことは果たして研修生という形で外国人労働者を受け入れ続けて良いのだろうかと言うことである。中東諸国で働く東南アジア人やシンガポールに毎日通うマレーシア人のようにアジア諸国でも別のアジアの国の人を安価な労働力として常時使っている国もあり、日本だけは全て日本人労働者だけの国にすべきなどとは思ってもいない。今回は研修制度という枠の中で自由に職場変更が出来なかった事も要因の一つだと思うと、形骸化された研修生制度でなく、一定の制限を付けた中で自由な労働力の導入も考えるべきではないかと思うのだ。

 まず就労ビザを簡単に発行できるようにした上で日本人とは二重規律になるが外国人労働者の最低賃金を保証することで保護をすると同時に、就労ビザの更新は納税と関連し、納税できない場合はビザが切れて強制帰国になるようにする。そのための帰国補償金を入国の歳に積み立てさせる。逆に長期の高額納税者には永住権を与える事や日本帰化の壁を低くする。刑法も在日韓国人のような永住件を持った者以外には厳しくなるような二重規律を設け、外国人犯罪者専用の刑務所は日本人に保証する人権以下の保証しかしない(祖国にいるより日本の刑務所が安心と思われてはいけない)ことで犯罪抑止効果を大きくするなど、飴と鞭を組み合わせ、良質な労働を取り込むことと悪質な移民を制限する政策が必要になってくるのではないだろうか。

 いずれにしろ研修生という名前での欺瞞は実体を覆い隠すことが多く、その上それを監理する公的な外郭団体が出来ることで官の部分が強くなるような状況を良いとは思えないである。日本の貨幣価値が今の1割にでも減少するか中国やアジア諸国の給与が日本並の水準にならない限り日本に来たがる圧力は減らないはずだから、もう少し正面から取り掛かる時代が来ているのであろう。