住みたくなる街の条件
2006/9/20記
 先日発表された基準地価では木更津市の土地価格の下落が小規模になり、ここ10年は続いていた下降傾向もいよいよ下げ止まったかのようだ。しかしそれでも下がっていることには変わりない。それは木更津の人気が上がっていないことを意味する。リタイヤ後の人生の場所として軽井沢の人気が高くなっているのとは大きな違いである。また、都心近郊ではマンションの開発が進むところの地価は特に上がっているようだ。そんな(区分所有や定期借地については色々意見があるがそれは別の機会に記述する)箱で送る生活は果たして住み易いことなんだろうか。

 日本全国を回り、様々な都市を見てきた。木更津以外でも前橋、桐生、船橋、吹田、神戸、上田の各都市で生活を営んできた。また、友人が住んでいた札幌、函館、水戸、東京、府中、京都、大阪、倉敷などの街には頻繁に訪れたし、旅の起点となる青森、仙台、金沢、松山、福岡、鹿児島、那覇、石垣などの街では何泊もして飲み歩き街の空気を味わった。そんな立場で住みたくなる街を考えてみる。

 桐生や上田では住めば都という思いを深くし、非常に愛着の有る街になった。多分、足利や飯田に住んでも同じような思いをしたであろう。逆に僅か3ヶ月しか生活しなかった船橋市海神や2ヶ月の吹田市古江台はそこで積み重ねた記憶が少ないせいも有るが、それ以上に街の空気がただのベッドタウンであり、多くの住民が故郷意識を持たない地域には住み続けたいと言う思いを持つことは出来無かった。だから神戸の街は好きであるが住んでいた北区ではなく須磨や長田に住んでみたいと思っている。

 日本のお勧め所の頁の生活したくなる都市に個人的に好きな街を挙げたが。私も歴史有る地域の中核都市を多く選んでいる。都市と住民のイメージについて考えてみると、例えば神奈川県の鎌倉市に住んでいると聞けば文化人のように思えるし、千葉県鎌ヶ谷市に住んでいると聞けば住宅ローンと通勤苦のサラリーマンを思い浮かべてしまう。実際には鉄骨組立を生業とする鎌倉市民も居れば大学教授の鎌ヶ谷市民も居るであろうが、イメージが先行するのである。
 そんなイメージのためか、東京都清瀬市と埼玉県新座市はその境界が連続する住宅地の中に突然現れ風景も変化しないのに都民であるか県民であるかという違いを気にする者が結構居るようである。朝霞、新座、和光、蕨の四市合併も上手く行かなかったが、例えばこれに清瀬市を加えて東京都編入を争点にしたら案外話は変わっていたかも知れない。
 しかし、そんな見栄だけのラベル効果は実に下らなく思う。

 翻って木更津のイメージを客観的に考えてみると芸能人として「浜幸」や「気志團」や「中尾昭」を輩出したように不良や強面の雰囲気がするのであろうか。大企業の単身赴任者と仕事を共にして話をすることも多いが木更津は田舎で何もなく交通も不便だという先入観を持って来ている人が多い。アクアラインバスで1時間もかからずに東京に出られる事を知って驚くがこちらに生活の場を遷そうという人にはお目にかかれない。
 羽田と成田に近いという地の利から、航空機を使うことで日本だけでなく世界主要都市との時間距離が近い街であるという事や、小櫃川、小糸川、湊川などの中小河川を源流から河口まで一つの生活圏で所有し、水源を自ら監理することが出来る環境都市というイメージなんて殆ど伝わっていないのが現実である。

 今、本当に住みたい町を考えると、賑わいのある商店街や華やかな繁華街、情感有る町並みや都市、郊外には心休まる自然。それらも重要なことであるが、どれだけ多くの知り合いが居て、自分のことを必要だと考えていてくれる人が居るかが住み続けたい街ではないかと思う。その為にはあらゆる市民参加を可能とする仕組みが重要なのだろうと思う。

 今回は散文でまとまらない考えになってしまった、と反省しながらも意見を載せる。