高校での世界史の未履修問題について
2006/11/2記
 必修単位である世界史等を履修していない高校がたくさん見つかり大きな問題になっているが、今年はそのまま卒業させてしまってよいと思う。きちんと授業を受けた学生と不公平だと言うがそもそも授業のあった学校でもきちんとした勉強をしているかと言うと疑問である。必修という事をルールとして決めているのだから必要な授業時間を行わなければならないとしたら、その授業の内容や受講態度はどうでも良いことにして良いのだろうか。

 私は高校3年の時に授業を受けた気がするが、半分は共通一次試験の受験科目で有る政経の勉強を内職していたような記憶がある。理系物理のクラスでは世界史に限らず現国や古文の授業は国立を受ける一部の生徒以外には独学の時間であった。また、多くの私立にはスポーツ特待生とかように僅かしか授業を受けていない生徒も居るし、学力不足のために中学校の内容以下の授業しか出来ない高校だってたくさん有る。今さら形式的に授業時間を設けても殆ど自習をするか睡眠の時間に回ってしまい無駄になるだろう。特に進学校で多く発生した今回の問題なので、多分彼らは高校受験のために社会科の勉強をしてきているはずだから、世界史に関する知識が普通の高校生程度に有ったら単位を上げてかまわないように思うのだ。

 大学では講義は受ける権利を与えるだけだから出欠は取らないという教授に会った。1年から2年への移行で大量の留年生を出した我がクラスは20名の少数体制だったから出欠を取らなくても誰が居るか解ってしまうということもあったがその教授は徹底して小試験と本試験の成績だけで単位を発行していた。私は半分も出なかったがちゃんとAをもらうことが出来たし、その学問は頭に残っている。そのような対応だって良いのではないのかと思う。

 世界史の授業については殆どが欧米と中国の歴史であり一般常識を身につける程度の役には立つが現代に反映される近代史を省略するので第二次世界大戦に至るまで日本が行ってきた事の理由や意味を知らない日本人が増えている。村山談話が意味することが解らなければ日本国民としてアジアに正対できないだろう。また韓国や中国から理不尽な批判をされた時に、ただ謝罪するだけでなく論理的な話をすることが出来ないのであれば、世界史を必修として学ばす意味が無い。

 例えば花蓮との交流に当たり歴史的な背景やも知らずに台湾に行ってはならないと思い2004年6月1日の青年会議所の例会で台北駐日経済文化代表處(中華民国の日本における外交の窓口機関です。民間の機構ではありますが、正規の国交が無いため実質的には大使館や領事館の役割を果たしている機関)に講師をお願いし、台湾の現在を聞いた。今でも台湾では日本が植民地経営の中で教育や医療の向上を進めると共に、時間や約束を守るという日本人の精神を残してくれたことを感謝していると言ってくれた。これは逆に今の日本に対する教えでも有る。しかしこのような事も世界史の授業では教えることが無い。

 せっかく必修として世界史を高校生に学ばせるので有れば、少なくともこれから交流の益々増えるアジア隣国の過去から現在までを知り、日本人として話を出来るような若者を増やして貰いたいものだ。