地域の財産として久留里を考える
2006/12/17記
 行政上は君津市になるが、このかずさ地域でも個性のある街の一つは城下町である久留里であると思う。久留里がより素晴らしい街になることで、地域全体に与える印象が変わってくるものと思う。極端な例では日光市は古河電工のアルミ工場を主力とした工業都市でもあるが、東照宮等による古い文化と伝統の街という印象を与えているように、城下町は地域の大きな財産であると思う。
 また、久留里の活性化により、人口減少の著しい久留里線沿線が活気づき、人口が伸びてもらいたい。そうでないと将来は久留里線の存続問題が地域に発生する事が予想されるのである。

 久留里の良い点を思いつくままに上げると、
@1742年より黒田氏の城下町として長い歴史を持っている。
A歴史上の人物として、新井白石を生んだ街である。
B地下水が綺麗であり、市内のあちこちに井戸が有る。
C造り酒屋が4軒(吉崎酒造、須藤本家、藤平酒造、森酒造店)も有る。
D古い建物が数多く残っている。
Eローカル線の情緒溢れる久留里線が走っている
F天守閣も復元され、それとは別に久留里城址資料館が二の丸跡に建っている。
 しかし、これらの資源を生かさないと地方の寂れた城下町のままである。

 逆に、全国の城や城下町を見てきた目で弱点を捉えると
@駅や城下町から城が見えないし、アクセスが遠く、ルートの整備も悪い。
A城も小規模だし、武士が常駐していた御屋敷部分は水田と成り武家屋敷もない。
B天守閣までの車道を設置したことと歌碑の林立により文化財としての価値が落ちてしまった。
C商店街の街並みは新旧混在で情感が涌かないし、電柱電線アーケードが煩雑である。
Dバイパスの未整備で通過交通が多過ぎ、頻繁に渋滞を起こすし、歩行空間として不快である。
E人口の減少で閉まっている店舗も多く、寂れた感じがする。

 個人的には久留里の活性化と久留里線の維持のために人口を増やすことも重要だと思っている。外観は武家屋敷でも中は普通の住宅というような開発を誘導し、東京から定年後は地方の城下町に住みたいという人を広く求めるなどして、様々な情報発信が成されると面白いと思う。

 活性化には交流人口の増加もかかせない。必ずしも秀でた観光地になる必要も無いが、小江戸川越や伊勢のおかげ横町のように整備によって活性化が生まれた事例もあり、せっかくの資源をどうにか成らないだろうかと思っていた。
 最近、久留里の友人から聞いたところでは千葉県や千葉大教授が地元の人と一緒になって久留里デザイニング研究会なるものを設立したらしい。その動きを見守りたい物である。