木更津の情報公開制度について
2006/12/19記 
 
 木更津に帰ってから自分の仕事をしながら非常勤公務員もしてきた。具体的には1990/4〜1995/3及び1997/4〜1999/3の7年に渡る消防団活動と、 (1999/07〜2003/06)の4年間に渡る木更津市情報公開審議会委員である。合計11年の公務員歴(?)である。
 その間、例えば平成6年(1994年)には年額59,500円、平成13年(2001年)には年額46,200円と僅かではあるが木更津市からの給料を頂いており、春にはその金額を加えて青色申告をしてきた。
 消防団活動の記憶は別にして、今回は情報公開会の審議委員の想い出をこちらに書きながら情報公開や個人情報保護について考えてみたいと思う。

 木更津市のHPを見ると木更津市情報公開審議会は平成7年(1995年)から始まっている制度で、任期は2年。私はそれを2期4年間行ったわけである。正式な審議会名は
 木更津市情報公開制度運営審議会(平成11年:1999/07〜2001/06)
 木更津市情報公開・個人情報保護審議会(2001/07〜2003/03)
 木更津市情報公開総合推進審議会(2003/04〜2003/06)
と、任期中に2回も変わっている。これは個人情報保護法の制定(2003年)に先だって県内でも先駆けとなる条例を作ろうという市の姿勢や、積極的な行政情報開示のために会議公開やパブリックコメントなどの制度を調えようとした動きであった。審議員の大学教授2名と会長である弁護士が積極的に進め、事務局であった市の総務部も大変勉強しており、『我が市も金は無くとも人と知恵は有るな』と感心した。私も条例に対する知識はなくても仕事で役所の「仕様書」を読んだり作ったりしてきた経験と、難しい一般論を具体的な現象や極端な事例に置き換えるとどうなるか、という点で積極的に発言させて貰い、結構充実した時間を過ごすことが出来たし、色々な事例の呈示や内容の解説を加えて頂いた両教授には私の知識や思考力を深めて頂けたことに大変感謝している。

 公開請求の手数料を無料とするか否かの立場を考えた場合、精神の上では無料が望ましいとしても実際に情報を調べて公開するという行政事務が発生する以上、無責任な情報公開請求を防止するという意味で若干の手数料を取るべきだという方針を審議会としては出した。
 実はこの頃の情報公開制度を利用して行政の問題を追跡していた人が市長選挙に何回も挑戦したK氏であり、実はその頃、私の仕事の検査をするべき立場に有った人である。無責任な請求をしているのではなく行政の無駄を明らかにするために頑張っていたことは氏の話を聞く機会も多かったので解っている。しかし、どちらかというと政治の手段に使われているという印象が世間に多かったのも事実である。

 さて、その後に四市合併運動を始める中で、政策広報担当として四市の状況を比較する必要が出てきたときに情報公開制度を使用するべきかと一時思ったのであるが、そんな正面から正規の手続きを取って公開の是非を議論するより、行政側からの開示を受けようと考え、色々な資料を手に入れたという事もあった。

 審議会の教授から聞いた話では情報公開制度は「公開しなくて良い情報」を規定して、公開しない根拠を整備するために使われている例が殆どで、実は情報が公開されないために調えられているという自治体も少なからず有ると聞いたときには目から鱗が落ちたようであった。本当にやらねばならないのは公開条例制度を使用して請求しなくても、行政側から積極的開示を行う制度を作ることだという審議会の理想は四市合併の頃には生きていたようだ。

 金がない、が口癖の木更津市であるが、少なくともこの点については少し誇りたい自治体だと思った。このような行政ソフトの集積で評価される風習が強まれば全国の自治体も競い合うと思うのであるが、実際は自主財源比率や児童医療費補助の制度など、金に結びつく要素だけが評価される時代はそろそろ変わるべきではないか、と思う次第である。