大型ショッピングモールの計画について
2006/12/25記 
 
 木更津にジャスコが進出してきたのは今から25年位前のことで、当時高校生だった私は商店街が大規模店舗法を盾に店舗面積の縮小要望署名をしていたことを覚えている。たしか4階建てという噂が2階に変更になったのではないかと思うが今ひとつ定かではない。

 時代が変わり、家族の数だけ車が有るような世の中になると都市の商圏も広くなり、その分だけ店舗が巨大化をしてくるようになる。スーパーマーケットを上回るハイパーマーケットという言葉を聴いたのは15年ぐらい前のことだが、今では大店法も変わり、イオングループを主体に日本のあちこちに巨大店舗が出来る時代となった。その一方で駅前のデパートは何処の地方都市も厳しい状況に有る。木更津では全国に先駆け(?)駅前からダイエー、西友、十字屋、そごうが消滅すると言う、象徴的な衰退振りを見せてきた。
 東口で、西友はEPOとなって営業形態を変えても振るわず、結局閉鎖となり跡地が100円パーキングになった。その結果、東口の生活品売り場はダイエー1店舗に絞られて、その閉鎖による日用品購入の不便を解消するために新昭和がダイエーを購入し、ラズモールとして営業を続けた。そうしないと新昭和の建設した駅前マンションの売れ行きが悪くなるからだった。世間では土地と建物を含んだ購入金額が駅前にも関わらず、たった3億円という安い噂が建っていた。
 西口ではそごうの閉店に伴い、底地の権利関係を整理して市が購入し、アクア木更津として維持している。商業施設まで公共事業となっているのである。たしかに有る意味では福祉ではあるが違和感は拭えない。

 駅前の状況を考えてみると、昔は人混みを避けるのが大変だった記憶がある。現在は木更津キャッツアイのファンがロケ地巡りをしてくれているので少し活気も戻っているが、そうなる少し前に駅前に行くと、東口は高校生と年寄りの街、西口は年寄りだけの街という印象が強かった。商店街もシャッター通りとなって寂しい限りであった。

 そんな中で、木更津では築地にイオンを中心とした巨大な商業施設が計画されていたが、さらに今月になって金田の都市再生機構が行っている区画整理区域に17万坪のモールオブザワールドキミサラズ(MOW)計画なるものがカナダ系の外資によって提案された。木更津市街を挟み南北に国内最大級が出来ると言う状況はより中心商店街の空洞化を招くことになる可能性が高いが、雇用の場の確保・税収の増加・都市イメージの向上などから考えると決して悪い話ではない。ただ、その開発に当たり行政からの財政支出を伴わないようにするべきであるし、交通渋滞や生活環境への影響など、内容を総合的に判断して行くべきであろう。また、南北の巨大施設が共倒れになったときには木更津では商売は出来ない、という印象を強く残してしまうのでそれにも注意が必要である。

 特にMOWは発表されたばかりで「MOWキミサラズ第1プロジェクトは、日本武尊と弟橘媛の神社創建を核とした、地元の農・漁・商・工業者と地域住民の方々が中心となって、江戸時代の木更津の町をモデルにした古くて新しい界隈創り」を勧めるらしいが、福井県勝山市にある越前大仏の門前町のように地元が負担をしながら客足が少なく、多くの店が資金繰りに苦労をしたような不幸を繰り返してはならないであろう。
 さらには開発の名の元に地元の資金を吸収して建設工事の利益を出す事を目的とした組織なのか、営業の結果まで責任を持ち伊勢御陰横丁のように時代の波に乗って商売が拡大して行く物なのかの見極めが肝心である。それにしても弟橘媛の神社って吾妻神社の立場はどうなってしまうのだろうか。