公共工事の発注規模について
2007/1/8記
 昨今の公共工事の談合等に寄せられる国民の情報公開要求のため、入札結果は開示することが義務付けられており、木更津市役所のホームページからもトップにあるビジネス情報欄の「入札・落札」をクリックし、その中の「落札結果」をクリックすると建設工事の入札等の結果を知りことが出来る。
 その中で、18 年の枝線管渠布設工事に着目すると清見台地区と貝渕地区の工事が合わせて 11件に別れ、8月から 12月までの間に360万円〜 3570万円で発注されていることが解る。発注額を合計すると清見台が約1億 1千万円、貝渕が約9千万円となる。それ以外の様々な工事でも、同様の名称の工事が複数に分割されて発注されていることがこの実績一覧から読み取ることが出来て、素晴らしい情報開示になっている。

 さて、このように複数に分割して発注するのは市内の業者を中小から大手まで満遍なく受注者にするための処置で、地元企業育成のために業界の常識とされてきた事である。
 しかし、工事を複数に分割するというのは、例えば単価が同じ商品を複数の商店から購入するのとは違い、同じ金額では出来る工事量が減るので有る。
 具体的には直接の材料費や施工歩掛りは変わらなくても仮設材の転用回数の違いや、小額の工事ほど高くなる経費率などにより、工事量に比べ工事金額が上がってくるので有る。つまり大型の工事を 1社で行う場合に比べ、分割した場合は遥かに高い物となり、予算が決まっている中では工事量を減らす事にならざるを得ないのである。前の清見台と貝渕をそれぞれ1件で発注した場合は、多分9千万円台と7千万円台となり、それぞれ1千万以上は削減できると想像できる(あくまで経験による値で積算はしていない)。

 分割のもっと大きな問題は、例えば前に鹿児島県で1本のトンネルを10区間に分割し、それぞれ別の業者が落札し、下請けは全て特定の1社で全てが丸投げだったという、余りに世間を馬鹿にしたような事があった。木更津の場合はそんな事は無いと思うし、場合によると積算より低く落札したことで 1本の工事で受注しか結果より安くなっている可能性が無いとは言えない(市のHPの情報だけでは解らない)。
 また、全ての工事を大型化すると、検査完了までの多額の資金を立て替える大手業者しか受注出来なくなり、業界の寡占化が進み地元業者が衰退し、万が一の災害時に機敏に対応できる者を失ってしまうという意見も理解できる。
 しかし、このように小規模な工事では手間ばかり掛かるし思うような工程で仕事が出ず、たいして儲からないと言う話も良く聞くし付き合いで仕事をしているような面も有ると聞くこともある。
 逆に、発注側を考えると 1件の積算と発注行為と契約行為で済むものを複数に分ける手間の増大や、複数の担当者が出来ることによる打合せや検査時間の増加など、行政側でもかなりのコストアップにつながっているはずなのである。

 私は公共工事を受注する側では無く、発注する側が長かったので業者には冷たい意見となるが、現在のように木更津市の経済状況が決して豊かではないとき、このあたりも聖域化せず、例えば業者のランクの見直しや入札方法の改正も同時に行いながら、安くて良い仕事を行っていけるようにして公共事業に胸を張れるようにしなければ建設業界の明日のためにならないと思っている。