マンション販売の好調が心配である | |||
2007/1/18記 | |||
景気がそれほど好転したという実感はないが都内のマンション販売は好調らしい。業績が好調な大手企業ではボーナスも過去最高額になったと聞くから、そのような団塊ジュニアが新居を構えているというのが背景にあるのだろう。君津駅前でも新昭和が建築したものは直に完売したと聞いている。 阪神大震災12年目の翌日に、改めて区分所有と言う形態をとるマンションを気にしている。あの震災のときには一部損傷となった建物の補修にあたり、損傷を受けていない範囲に住んでいる住民が損傷を受けた部分の工事費を負担することについて深刻なトラブルを生じていたことを覚えている人は少なくなってしまっただろう。マンションと言う近所づきあいが少ない世界でも財産保全の点では戸建住宅に住むより利害関係の調整が大変なのである。例えば震災で職場が無くなったり財産を失ったりしながらも、とりあえず自分の住まいだけは不自由なく住める状況のところで「建物の補修費が1戸当たり400万円の負担です」というような話が来たときに、それを制度だからと言って割り切れるものであろうか。 また、被災状況によっては建て直しとなり、そのコンセンサスが取り終るまでは住むところが無いという事にもなるし、建築基準法改正前のマンションでは容積率の低下によって当初の建物と同じだけの面積が取れなくなった例も有る。戸建の所有者なら敷地に仮設住宅を建てて当座を凌ぐ事も出来るが区分所有ではそういうわけにも行かない。また建て直す場合でも多くが2重ローンの負担となり、生活に困窮していった事を覚えているだろうか。 もちろん都市の高度化、高密度化を進めるためにはマンションという形態が相応しいのは解るし、全ての住人が庭付きの生活をする必要もない事はわかる。しかし、そのリスクの分を正確に認識しているのかという点に疑問が残る。認識していないまま購入したとしても、そのような人が大勢居ると世論にすら成ってしまうことに心配をしている。 話の問題点は異なるが、耐震偽装のマンション救済策として自治体が偽装を見抜けなかった責任を取らされる形で公的な補助が入った事例があった。それが単に公的補助の事例となって、地震でのマンション被災に対し無秩序な公的負担が求められることは有ってはならないと思う。木更津駅前や巖根にもマンションが増え始めているが、関東大震災クラスの地震が近いといわれる昨今、その問題点を考えていかねばならないと思った。 |