市営住宅政策について
2007/3/5記
 地元を回り、色々と話をしている中で、昭和30年代に造成が進んだ住宅地区では子供が独立し、配偶者を失った独居老人が大きな問題になりつつあることを実感した。特に市営住宅においては孤独な生活を送っている人々が多いという事も解った。
 この事は江川だけでなく市内では祇園や長須賀に大きな市営住宅があるからかなりの問題になっているのではと思い、木更津市のHPから市営住宅を探してみると下表のように500戸が存在していることが解った。木更津市の世帯数が5万強なので完全入居と仮定すると1%の比率になる数字である。
地名 建設年度 年度別戸数 地区別戸数
岩根 30 12 30
31 6
32 12
久津間 36 21 21
祇園 37 20 59
38 19
39 20
住吉 40 18 47
41 17
42 12
長須賀 41 7 77
42 6
43 17
44 17
45 14
46 16
清見台 44 6 6
東清 45 92 182
46 13
47 18
48 49
49 10
真里谷 46 6 13
48 7
江川 49 22 65
50 24
51 19
全体 500 500

 江川の市営住宅でも「窓枠が木枠のままですきま風が多く、早くサッシに変えて貰いたい」という営繕に関する要望が寄せられているが、その建設年度はこれらの中で最も新しい部類であり、他での損傷の進行はかなり大きい物と思う。また江川団地が新しいと言っても、最新の建物でも築31年になる。建物の寿命を迎えつつある事は間違えないし、建築基準法改正前の旧基準住宅で耐震性能も低い建物である。浴室の無い部屋や汲み取りの便所など、現在の標準的水準から大きく遅れている環境も気になる。
 これらの団地が建設された時期というのは日本の高度成長に伴う労働力の都市部集中で住居不足が深刻な時期であり、国策としても住宅公団(現都市再生機構)が積極的に住宅政策を進めていた時期でもある。
 現在のように民間住宅が充実してきた現状では、自治体が住居を用意するという事は既に役割を終えつつあるのかと思う。民間で出来ることは民間に移し、市の財産や管理部門を縮小して低コストの自治体を目指すべきだと考える。もちろん低所得者で普通の借家に経済的に入居が困難な世帯の存在は、生活保護や入居支援補助という手法で解決すればよいと思う。
 
 しかし現実に市営住宅で生活している人達は、そこで地域社会と交流することで支え合っている状況にあるので、急激な解体や転居は生活の基盤を失わせる事に繋がる可能性も高く、政策上の撤収は慎重に進められるべきだと思う。また、入居者も長年に渡り家賃を納めているので住宅営繕は大家の仕事として市が行わなければ成らない部分も有るだろう。
 短期と長期の問題を整理して、政策的誘導をして解消するべきであると考える。