議会での夕張ショックについて
2007/9/18記
 9月定例議会の決算審査特別委員会が始まった。午前中は視察であり午後から質疑が開催された。どの様な論点で議論が進むかと思って期待していたが、予想以上の濃い展開になり傍聴も楽しく刺激的である。
 質問者は、金額や決算書類については監査委員が充分に見ているという立場に立ち、事業の位置付けや成果について、さらには過去問題となった事項の現在状況などを質問をしている。
 事業の意味など、今年3月開催の予算委員会を傍聴していない新人議員はレベルが高い上に資料の見方も不慣れでだいぶ苦労しているようであった。もちろん私もそうである。
 それにしても先輩議員は監査意見書をしっかり読み込んでいたり、国政での地方自治の方向性に目を光らせていたりする姿には感服するところである。次回選挙までには追いついて、追い越さなければと気合いが強くなってくるところだ。
 
 さて、そんな先輩議員が質問の中で、夕張市があの状況になったとき市議会議員は何をしてきたと言われてきたのでこの問題を指摘しなければならない、という趣旨の言葉を入れてきた。
 多分日本中の自治体で行われている9月議会で、多くの議員がこのような問題意識を持っていることだろう。
 
 生け贄にされてしまった夕張市には本当に申し訳ないが、あのショックによって各自治体の危機感が高まった事も事実であるし、今回の交付税の大幅削減も事業見直しに拍車をかけるだろう。その事は一面では高く評価できる。
 自分の属する会派の空気も合理化推進部隊のようになり、公的資金補償金免除繰上償還事業などを市に請求する立場となる。『最も金のない時期に当選してきて御苦労様』という冗談も笑って済ませられない事態であると思っている。
 
 だが夕張で総務省や道庁が示した厳しい姿勢は一方で萎縮を生み、福祉や維持管理費まで削減を進めていく自治体も多く発生する一方、大企業を抱えた自治体は企業税収の増加によりこの世の春を謳歌しているという勝ち負けがハッキリした状況を生んでいる。新日鐵からの税収が急激に増加した君津市が住宅取得奨励制度で最大100万円を支払う事を決めたことは勝ち組の余裕と思え、負け組に近い木更津からは歯がゆく思うばかりである。
 
 多くの地方が同じ思いの元で参議院選挙が行われ、この政策への反感や、夕張のように扱われる事への拒否として、野党の躍進を生んだのが7月のことであった。今回の総裁選挙で決まる新しい総理はどのように舵を切るのか見守りたい。
 ただ、その結果として自治体の危機感レベルが著しく低下すると国や地方に残る膨大な借金を処理することが困難になる事も予想されるので、辛く当たることと温情を与えることとのバランスを取りながら綱渡りする事は大変であろう。
 
 これは地方議員も同じであり、例えば学校の統合による地元校の廃校など、地域から泣きつかれるような問題をどの様に裁くかが問われてくるという自覚を持って厳しい数年間を過ごさねばならないのである。