農業問題について考える
2007/10/14記
 本日のNHKスペシャル『世界がコシヒカリを作り始めた』の中で新潟魚沼産の米が農協を通すと1俵(60kg)で1万円にしかならない状況を知り愕然とした。房総の新米も1万円にしか成っていない状況は周辺から聞いていたが、魚沼米もその価格では仕方が無いと思うと同時に、日本の米作農家の追いつめられた状況を深刻に考えた。
 1反(1000u)で8俵(480kg)取れれば良い収穫だが、それで8万円にしか成らない。10町歩(=百反=100,000u)の耕作をする大規模農家でも売上が800万円にしかならず、それから農薬や肥料代、耕作機械等の損料、燃料等の経費を除いたら僅かしか残りが出ず、それを労働時間で割ったら多分最低賃金を大きく下回ることになるだろう。
 多くの農家には資産があり、食料も多くを自給しているので目に付きにくいが、所得だけを考えればワーキングプアと言われる人達と同じ様な状況に置かれてしまっているのでは無いだろうか。
 
 一方、世界的には中国の大量輸入やバイオエタノールによる食料争奪の結果、穀物相場が大きく上がり、外食産業やインスタント食品の値上がりも続いている。それでも国内単価よりまだ安い相場に有るため、値上がりが国内農家を潤す結果には成っていない。世界的な食料争奪戦の中で日本の農家だけ生産の喜びを奪われている現状を放置して良いのだろうかと思う。
 例えば稲作では、美味くなくても病害虫に強く収穫が多い品種を
バイオエタノール用に二期作するとかして食用に回る総量を抑制して単価の維持を図るというのも案だし、学校給食や地域の飲食店では積極的に地場産米を使用することを奨励し、その店に行く運動を自治体主催で進めるという方法も考えられる。
 
 食糧自給率が4割を切ったとも聞く現在、さらに自給しているはずの食糧にしても肥料や燃料を多くの輸入に頼っていることを考えると、安全保障と輸入品による残留農薬被害リスク軽減のためにも食料を生産し続ける体制は維持しなければならない。
 そのために民主党の個別補償とか自民党の先端農家育成などの補助政策が争われてもいるが、木更津のように都市と農地が近接する場所では、市民のレベルで地元の農家を支援するという連帯の意識を持つこと、具体的には地元で誰が作ったか明確な米は高くても買うという行動を取ることが今後は重要だと思う。その為には都市住民と農家の出合の場を設ける事が必要かも知れない。
 ちなみに家は前から知り合いの農家の米を食べている。
 
 10月20日加筆:君津で大規模耕作をしている知人に今年の米価を聞いたところ、彼は直接販売のルートを確保しているので1俵1万7千円で販売できているという。上に書いたことを実践している事例が身近にあったのだ。