文化戦略について考える
2007/10/22記
 先日読み終えた本の中で文化戦略を改めて認識し、自治体はどうあるべきか考えた。
 
 文化戦略とは、例えば欧州文化はローマやルネッサンスの中心であった北イタリアで育まれてきたが『芸術の都』という言葉に対してパリをイメージさせる戦略で、さらに拡大すれば公式な服装と云えば西洋服を定着させるような行動である。その結果、その発祥の地は広い商圏を確保すると同時に本場のブランドイメージを確立し、世界中から憧れを持って見られる結果になる。
 近年ではアメリカが映画やテレビによって大量消費というアメリカンスタイルを世界に伝播している。アメリカが計算違いだったことはアメリカ文化を広げた先の国々が自動車の消費地でなく生産基地に成ってしまいアメリカの経済を疲弊されたことだ。それでもアメリカは憧れの土地で、NYに行きたい、住みたいという者は多い。
 自分のことを考えてみても、野球を違和感無く見て、理解できないまでもクラッシクやジャズはJ−POPより高度な気がしているし、休日はジーンズで過ごしている。見事にアメリカの戦略にはまっている(でもMade in USAを欲しいとは思っていない)。
 
 日本国内の都市対抗という視点で考えると、圧倒的に東京が情報発信能力の差で勝利している状況にあり、あえて独自の道を進んでいるのが京都・横浜・神戸といったような都市である。
 日本という勤勉に働く文化から自由になっているのは沖縄の宮古島や石垣という都市で、食の宝庫というイメージを打ち立てたのが北海道だろう。その意味では夕張メロンは松坂牛並に最先端を行っていたと思う。
 九州や関西の中堅都市は長い歴史の誇りで自尊の文化を持っているが、他から憧れを持って見られることは多くない。まして関東近傍の都市は東京に住めないから仕方なく周辺に住んでやっている、というような住人を抱え、独自色を出すことも困難な状況にある。
 
 さて房総半島の西側で、切られ与三郎から気志團:木更津キャッツアイに流れる歴史を持った遊び人のイメージを抱えるこの街を如何に売り出せば、この市の住民が他の街に行ったところで憧れられたり尊敬されたり出来るのか、万難を排しても移り住みたくなるのか、そのような事を考えて情報発信をしていく事が都市間競争だと思う。
 その為の方法は、国内に矛盾を抱えながらもアメリカンドリームを世界に信じさせたようなお伽話が必要なのかも知れないし、フランス人のように他は取るに足りない者だと見下すような自信が求められるのかも知れない。
 私立高校とかでは、イメージを高めるために特待生を入れて甲子園を目指すが、自治体としては何をするべきだろうか。
 この市の物産の販売を上げ、企業誘致を有利にし、就労の自由を増やし、郷土に誇りを持つ住民を増やすための戦術が必要だろう。木更津文化の価値を高める方法は何か、そのような戦略を立てる機関というものも必要ではないかと考える。