事業は最初が肝心 | |||
2008/01/08記 | |||
木更津市の都市計画道路である中野畑沢線の内、新宿以北は県道の改修として県により整備されているところであるが、新宿から江川漁業協同組合までは現道の拡幅でなくバイパスとして施工されている。 毎年の工事費が少ない中で、僅かな範囲を少しづつ整備してきているが、日米安保まで関与した自衛隊用地の問題が解決する方向になったことより平成25年までに新宿から金木橋までは完成させる目標が発表された。 さて、その中でバイパス区間の江川敷地内で、中野畑沢線の計画高さが周辺土地より1m弱も高く、沿道利用が困難となっているばかりか交差道路についても大幅な改修が必要となり地域で問題ではないかという声が広がってきた。 たかが1m程度でないかと思う方も居るかも知れないが、車椅子が登れる勾配と言われる8%で取り付けた場合は12.5mの斜路が必要となり、勾配変化の緩和曲線などを織り込んだ場合は道路端から20m近い範囲を修正しなければならなくなるのである。つまりこの道路に近接し、交差する道路に出入り口を持っている世帯では自分の家の前の道が高くなり、敷地内まで改修する必要が出てくるケースも考えられると言う事になるのだ。 昨日、県の地域整備センターに行き、道路の平面図や縦断図を見せてもらい、何故わざわざ道路を持ち上げる方向で設計したのか確認してきたところ、横断する水路を現況断面のまま確保して、その上に構造物や舗装の厚さを加えるとこの高さになって、それをつないだ結果が現計画と言うことであった。 県の担当者にしても事業が進捗してかなり完成した後に移動してきているので現計画を尊重しながら地元にとって利用しやすいものを作るよう努力していただいていることは解るが、そもそもこの程度の計画のままで事業化してしてしまったことが残念でならない。 条件となる水路にしても通水断面積を変えないままで扁平断面とすることや下越(サイフォン)にするなど対策は幾らでもあり、その部分での工事費は大きくなっても、影響を与える範囲の修正や補償などを考えると安価に収まるはずである。なによりせっかく出来る道路が沿線の住民に利用できない構造で良いとは思えないのだ。 既に完成しているところもあるので、やり直しをする事も予算措置上、困難である事も解る。やり直しを求めれば大きな問題が生じて、平成25年度の開通が不可能となり、アクアラインから市街西側を結ぶ幹線道路の遅れという事態になることも解る。 そもそも中野畑沢線を計画するときに自衛隊用地を使用する計画にするなど不手際が目立っていたものだ。企画の段階で何処まで将来の事を予想されていたのか、当事の担当者には責任感が有ったのかと不満が渦巻いてしまう。 何事も事業は最初が肝心である。その意味で行政の企画段階でのチェックを行わねばならないのだが、最初から揉めることを避けるためか情報開示が少ない事例が多い。嗅覚を高めて情報に食いつく、という行為が必要であるが、それは政治家だけでなく市民にも与えられる権利でなくてはならない。 近年はパブリック・インポッシブルという、計画の構想段階で市民の意見を聴くことが始まっている。出来るだけその制度を拡大して、最初の段階での間違いを正すことが重要となると痛感した。 |