鹿屋から学ぶこと | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2008/01/26記 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
23日に基地対策特別委員会で鹿児島県鹿屋市に基地周辺土地の利活用の先進事例の行政視察に行った。基地の周辺土地とは航空機等の騒音が激しい土地や滑走路がある事による航空法の高度制限の掛かる土地を国が買収した土地のことで、鹿屋市は木更津の約3倍となる100ha強の用地があり、毎年国に働きかけることで20haを有効利用している。参考程度に木更津市は33haの土地のうち、約3haを江川総合運動公園として使用しているだけに過ぎない。 今回視察したのは平成19年7月に8haの土地と約5億円の予算で完成したグランドゴルフ場であった。グランドゴルフとは社団法人日本グランドゴルフ協会によると昭和57年に鳥取県東伯郡泊村の教育委員会が中心になって考案されたもので、専用のクラブ、ボール、ホールポスト、スタートマットを使用して、ゴルフのようにボールをクラブで打ち、ホールポストにホールインするまでの打数を競いあう競技であり、西日本を中心に流行している。この日も平日の午後2時という時間であるにも関わらず大勢の市民が海上自衛隊の航空機の騒音が響く公園の中で楽しんでいた。その姿を見て、生涯スポーツの振興となり将来の医療費抑制に役立ちそうだ、と同行した議員と話し合った。 因みに北海道や8月に視察に行った青森ではパークゴルフ、信州や北陸ではマレットゴルフと言う類似したスポーツがあり、使う器具やコースの長さ等が微妙に異なり全国的には統一性を持っていない。個人的に両方を経験済みであるが、結構楽しいものだ。 しかし、視察の目的はグランドゴルフにあるのではなく、どの様に基地周辺土地を運動施設として整備したか、その手法を見る事であるので「グランドゴルフ」の話はここまで。 |
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鹿児島県鹿屋市は平成18年1月の輝北町、串良町、吾平町との合併により人口10.6万の都市となり、合併特例債を除けば一般会計予算は木更津と同規模の300億円超となり、面積や産業構成は異なるものの比較的近似した都市である。 基地も木更津が陸上のヘリ部隊、鹿屋が海上の航空隊という違いは有れ、どちらも2千名弱の隊員を抱える戦前の日本軍からの流れをくむ基地の街である。 しかし日本唯一の国立体育専門大学である鹿屋体育大学が存在することもあり、社会体育に力を入れている。体育館や野球場は言うに及ばず、サッカー場、弓道場、武道館、相撲場、陸上競技場、ラグビー場、テニスコート等を持っていたところに室内プールを持つ串良町や屋内ゲートボール場を持つ吾平町が合併してきたから膨大な運動施設を所有することになる。その状況でさらにグランドゴルフ場を所有するというのだから恐れ入る。 到着した午後2時から1時間の現場見学及び利用状況や維持管理方法の現場説明を市民スポーツ課から受けた後、市役所に帰って企画調整課より事業の進め方についての説明を受けた。 鹿屋市は毎年のように防衛施設庁に整備要望を行い、昭和54年に憩いの広場を設置したことを皮切りに下記の施設整備を獲得した。木更津市では江川運動公園が昭和57年以降に追加拡張していないことから考えると大きな違いである。 |
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今回のグランドゴルフ場は基地周辺利用の全国モデルケースとなるようにという位置付けで、国が2.3億円、市が2.7億円を負担して整備が進められた。国が対応したのは芝や植栽の部分で駐車場や便所は全て鹿屋市の負担であった。この事に違和感を持って質問すると多目的運動広場を民生安定事業で整備してしまったので、同じ自治体に同じメニューが使えず、緑地帯整備事業で対応したため管理棟とか進入路の負担が受けられなかったという回答であった。長年事業を行っていない我が市はこの点では有利である。 国との協議を企画化が進め、事業化が明確になったところで都市整備課が基本設計から施設建設までを行い、維持管理は市民スポーツ課が受け持つというリレーで事業が進められた。年間の管理費は14百万円程度と想像されているようだが、まだ開業以来の時間が少ないので平成21年を目標に指定管理者に任せるようだ。現に市の運動施設14箇所を一括して指定管理者に年間47百万円で管理委託しているため、今回の額は特別高額とは思えないようだ。さすがはスポーツの街である。しかし鹿屋市の財政力指数は0.47。木更津の0.86の約半分である。削減が進む地方交付税を頼みながらの運営という面は拭えない。 グランドゴルフ場整備までの交渉を聞いていると、平成8年から根気よく話を進めていたからこそ、平成14年の周辺地区整備の方針転換に上手く乗れたのだと思う。財政が厳しい中では国に頼らざるを得ないと言う面が有るとしても、逆に有る程度財政が運営できる我が市では長年に渡る地味な交渉などを軽んじて来たのではないかと思うところもある。何はともあれ、先ずは動き出すことが重要だ。梅の花の咲く大隅半島でその様に学んで来た。 |