地球温暖化と熱供給
2008/02/20記
 昨日、報道ステーションを見ていたらペレット・ストーブの特集を行っていた。
 ペレット燃料は、化石燃料と違いバイオマスエネルギーである木を素材としているので、カーボンニュートラル(二酸化炭素の増減に影響を与えない性質)という特性を持ち、地球温暖化防止になるので、環境問題を考えている人々の間では既に有名だ。(詳しくはこちらを参照
 今回はそれ以外の視点として、国内林が輸入材に価格面で敗れた結果として荒廃してしまった山林を適正に管理していく過程で木材資源の有効利用を行う、という観点と、化石燃料の高騰による国内資源の有効利用という、3点の切り口であり、良い特集であった。
 あえて言えば、燃料が出来るまでの木材の伐採・運搬・破砕・乾燥・圧縮・整形・梱包・流通に掛かる化石燃料を算定して、その上で効果を明確にしてもらうと通好みであるが、そこまでやるのはNHKにでも任せるべきなのだろうか。
 日本国は先進国有数の森林率を誇る森林大国であり、我が木更津市でも矢那や富来田には広大な森林が広がっている。多くは間伐も進まない細い密集林となっているのが現状なので、森林資源の有効利用という点から燃料生産を前向きに検討する価値は有るだろう。エネルギーの地産地消という考え方である。
 また、温暖な房総では固定式のペレット・ストーブは一般家庭には普及困難と思われるが、学校や公民館のように大規模な熱容量を消費する場所では検討しても良いものかと思った(テレビでは会津若松市が全小学校をペレット・ストーブに変えたと放送していた)。
 
 一方、先日友人からトランスヒートコンテナって知ってますか、というメールが届いた。
 トランスヒートコンテナシステムとは、今までは焼却所や工場などで活用が困難な比較的低温度(200℃以下)の熱は大気や海水中に捨てられていたが、それを回収して潜熱蓄熱材を貯蔵したコンテナにより広範囲に熱を供給するシステムのことである。
 離れた需要先まで車や鉄道で供給出来るので、パイプライン等の設備が不要となる事がメリットである。捨てられていた熱エネルギーを有効に活用することで化石燃料の消費を減らし、地球温暖化防止になるので、環境問題を考えている人々の間では少し有名な話らしい。(詳しくはこちらを参照
 当該地域には東京電力富津火力発電所、同袖ケ浦発電所、共同火力、新日本製鐵君津製鉄所という、大量に温排水を放流している企業が多くあるため、地域として取り組むことは有効であろう。
 
 この様に、熱供給だけを取っても地域に埋もれた財産を活かす方法は数多く見あたるはずである。
 地球温暖化防止にむけ京都議定書を守る立場から二酸化炭素排出量を6%下げなければならず、企業や自治体は多くのことに取り組まなければならない状況だと認識しているものはどの程度居るのだろうか。
 
 さて、昨年4月1日から使用開始された健康増進センター『いきいき館』はボイラーで熱供給を行っており、その上プールの水質維持のため大量な水道水を使用している。
 12月の補正予算で水道代の追加料金として約1157万円が上程されたときには驚かされた。水道水がもったいないだけでなく、熱交換システムのない状況では排水とともに失われる熱エネルギーだって軽視できない規模であろう。
 前身の施設は焼却炉の廃熱利用で多くの視察を呼んだ先進的なものであったが、溶融炉にゴミ処理を移した現在では、わざわざ化石燃料を使わないと機能しない施設となっている。
 9月議会で運用コスト等を質問したときには、今年始めたばかりだから様子を見たいという執行部の回答であったので、その意思を尊重するし、投資予算が限られているため高度なシステムに出来なかったことも理解する。しかし、せめてプールは浄化・保温・循環で熱資源と水道使用量を抑えるような設計にするべきだったと今でも思う。
 さらに言えば、温水プール程度の熱量なら太陽熱温水器でも充分なような気もするがその設置はされていない。京都議定書の達成に向け、二酸化炭素6%排出削減を目指している切実感が欠如している状態である。後1ヶ月もすれば運用開始1年となるから、どの様な改善方法を提案してくるか固唾を飲んで見守りたい。