農林業の現状を憂いる
2008/03/30記
 今日は地域の人々と伴に溝払いという水路清掃作業を行ってきた。間もなく水田に水を引くので、3月末の恒例行事である。作業には40名以上の参加があり雨が降る前に無事完了した。その後の会議で、実際に米を作っている世帯を話したら年々減少の傾向にあるという事が解った。
 
 石油の高騰でバイオエタノールが注目され、トウモロコシ生産にシフトした結果、世界的に農作物の高騰が続き、小麦や大豆を使用した麺や醤油などは値上がりを余儀なくされている。1ドルが100円を切るような円高と言っても為替は20%程度の変動にしか過ぎず、材料の激しい値上がりの前では打ち消す効果を持たない。ただでさえ産地の材料費が高い上に運搬費まで高騰しているので、輸入品の値上げは一層厳しい状況である。そのように原材料が高騰している中で迎えた春は、耕地拡大や農作物の大増産に沸きかえりそうなものであるが、まったくその様な気配は無い。地元でも新たに米を作り始めると思う人が出てこないのである。
 
 28日に出席してきた木更津農協の第35回総代会でも、米の販売の遅れや、米価が低い事による農家収入の低迷の問題、米離れを食い止めるための学校給食での地元米を使った米飯の拡大を求める特別決議などが出されていた。世界の食糧不足という潮流と日本の状況がシンクロしてないのである。
 山を歩けば間伐をしていない林の中で細い杉が乱雑に倒壊しているし、中山間地の田圃は葦原になっている状況だ。房総では本気を出せば二毛作はもちろん、三毛作だって可能になる気候を備えているが、生産者は作れば作るほど赤字になるという状況である。それは高騰したといっても、まだ輸入作物のレベルとは程遠い生産コストにあるためだ。
 
 地域で生産している品が有る場合は、若干の価格差があっても外国産を選ばないなどの意識変革が必要だと思う。だから学校給食もその方向に進むべきだと思うのである。そう考えると主食は出来る限り米にするべきであろう。なお現在の木更津市では5日のうち2日がパンで3日が米飯である。
 斉藤議員が給食を完全米飯にした学校があると言っていたので調べてみると福岡県築上群築上町であり、食育、地産地消活動の一環として同町の八津田小学校で1年間取り組んだ「米飯給食週5日制」の活動であり、児童や保護者、栽培農家にも好評のため、4月から完全米飯給食を町内の4小学校に拡大し、4年後までに町内にある10の全小中学校で実施する計画で、より安全で安心して食べられる食材を確保し、安定供給ができる態勢を確立していく方針だということだ。(参考
 
 出来ることから一つ一つ進めていくことが今は重要だろう。立ちはだかるコストや制度の問題に知恵を絞る。それは国に頼らずローカルでも出来ることなのかもしれない。