入札率について考える |
2008/04/04記 |
私は仕事柄、『日経コンストラクション』という建設業界の雑誌を定期的に講読している。その3月24日号で国交省では一般競争入札が進み落札率が低下しているとあった。身近な問題はどうなのかと千葉国道事務所が発注する圏央道工事のうち、橋梁上部工などの専門業者による工事を除いたものをHPで拾い出した。
平成19年度で拾ったものは下表の17件で、平均落札率は82.4%まで低下していた。このうち着色している6件(全体に占める比率35%)は落札率が80%を下回り、本市の基準であれば失格になる値であった。これを見ていると、依然として土木80、建築85を下回る金額が失格になることの正当性が疑われてくるところである。 |
No |
工事名称 |
開札日時 |
予定価格
税抜:億円 |
落札額
税抜:億円 |
落札率 |
1 |
圏央道木更津地区環
境整備その2工事 |
2007年6月15日 |
1.895 |
1.473 |
77.7% |
2 |
圏央道長南地区
改良その14工事 |
2007年6月15日 |
1.322 |
1.180 |
89.2% |
3 |
圏央道長南地区
改良その13工事 |
2007年6月15日 |
1.141 |
1.090 |
95.5% |
4 |
圏央道真里谷地区
改良その10工事 |
2007年6月15日 |
0.986 |
0.810 |
82.1% |
5 |
圏央道真里谷地区
改良その11工事 |
2007年6月15日 |
1.547 |
1.180 |
76.3% |
6 |
圏央道真里谷地区
改良その12工事 |
2007年6月15日 |
1.415 |
1.180 |
83.4% |
7 |
圏央道谷川橋
下部その2工事 |
2007年7月23日 |
1.778 |
1.400 |
78.8% |
8 |
圏央道養老川橋
下部その4他工事 |
2007年8月29日 |
1.142 |
1.010 |
88.4% |
9 |
圏央道平蔵川IC橋
下部他工事 |
2007年8月29日 |
2.723 |
2.680 |
98.4% |
10 |
圏央道不入橋
下部その1他工事 |
2007年8月29日 |
2.476 |
2.050 |
82.8% |
11 |
圏央道長南地区
改良その15工事 |
2007年8月29日 |
2.578 |
2.000 |
77.6% |
12 |
圏央道市原南IC・
Bランプ橋下部他工事 |
2007年8月29日 |
1.943 |
1.700 |
87.5% |
13 |
圏央道市原南IC
改良工事 |
2008年1月10日 |
6.061 |
4.810 |
79.4% |
14 |
圏央道養老川橋
下部その5工事 |
2008年1月11日 |
2.462 |
2.080 |
84.5% |
15 |
圏央道茗荷沢高架橋
下部その2他工事 |
2008年1月18日 |
2.344 |
1.960 |
83.6% |
16 |
圏央道不入橋
下部その2工事 |
2008年1月21日 |
5.397 |
4.250 |
78.7% |
17 |
圏央道市原地区
改良その2工事 |
2008年2月18日 |
6.231 |
4.950 |
79.4% |
合 計 |
43.440 |
35.800 |
82.4% |
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本年も木更津市では2件の小学校と市民体育館の耐震補強という大規模工事が予定されている。これらの合計額は8億円を超えるので1%の差金は公園を2箇所以上整備できるほど大きい。制度の見直しが必要だと思うところである。
ただ、このような低価格での落札が続くと物価調査会や積算資料の価格が下がり、積算金額が低下することで翌年度以降の予定価格が下がるという業者にとって負の連鎖に陥っているのではないかと思えてくる。業界の疲弊が目に見えるようだ。
前述の雑誌では国が推進する入札の総合評価方式に対する疑問があげられていた。私も施工能力の無い会社の排除という意味では賛成できるが、入札額が高い会社と契約を行うだけの正当性が立証できないことや得点付けが恣意的になってしまう危惧等から導入には反対しているものである。
公正で安価な入札と、業界の健全育成。一見相反する問題でもクリアして、明日の社会のために発注者も受注者も信頼と希望を取り替えさねばならないだろう。 |