電子化と内部技術者
2008/04/25記
 先日、NHKのローカルニュースを見ていたら『中野区では臨時職員としてシステムエンジニア6人を採用する』という情報が流された。
 これは様々なプログラムや電子化の委託として業者に発注する金額が妥当かどうか判断する役割を期待してという事であった。
 例えば土木工事や建築工事では、明確に作成された設計図書に示された内容に対し、国や県が作成した積算要領で金額を求めたものを基本的な予定価格とするために、市役所内部には技術系の技術者が居る。それらの技術者は価格を決めるだけでなく、業務の進行状況や品質に対しても市役所を代表する立場で責任を持つ立場とも成る。
 しかし、今年と来年にそれぞれ1億円を超える予算を必要とすると言われる戸籍の電算化等のIT事業に対して、その業務の適切さや進行状況を確認し、品質を確保できる技術者は、多分存在しない。中野区はこれを危惧したのであろう。
 
 予算委員会の時にも、例えば条例が議会通過した後で市のHPの例規集を変更する業務について予算請求があり『そんなものは直営で入力できないか』という質問に対して、著作権が有るので難しいという回答もあった。
 これでは市役所の電子化を進めるほど外注経費が発生する事態に成ってしまう、と思い状況をヒアリングに行った。
 
 職員直営で行った場合、例えばHPでは外注より高額になっている事例が他市にあるという事や、少数の職員に責務が集中し間違えが生じた場合の問題の責任、最先端技術に適応するための職員のスキルアップの方法、様々な電子化事業での対応の偏在(平たく言えばやりたくないことを後回しにする可能性)など、問題が多いことも想定された。
 また、電子納品されるプログラムの著作権まで発注者に帰属されるような仕様書で発注した場合は、そもそも想定した金額で納品されるかという危惧もあるし、内容を更新する場合の技術に対応出来るか、またそれは外注より安価なのかなど、やはり問題があることが解った。
 
 しかし、昔流行った1円入札のように、システムを一度受けてしまえば、その後の更新で安定的に事業収入がある、という制度は改修する必要が有るであろう。
 また、軽微な変更や修正まで自ら出来ないようでは、コストやスピードで劣るのではないかと気になる。なかなか解りにくい問題だけに、多方面から考えるべきだな、と思っている。