聖火が日韓を通過
2008/04/27記
 北京オリンピックの聖火リレー(聖火護送?)が世界中で混乱を生じながら4月26日の土曜日に長野に入った。不謹慎ながら何かが起こるのではと生放送を食い入るように見てしまった。
 
 この聖火リレーは本当に良い政治PRの場として使われているようで、例えば長野駅前の映像ではチベットの旗である雪山獅子旗だけでなく「東トルキスタン共和国」の旗が振られているのも目立った。
 これは中国で言うところの「新疆ウイグル族自治区」での独立運動である。調べてみるとチベット同様に亡命政権も有るらしい。また、ウイグルの人達は「新疆」という言われ方は清朝が新しく領土に加えた意味で付けた名称なので、それを使われることが嫌いなようだ。仮に日清戦争で日本が負けて中国の一部に編入されて今に至っていると有り得ないような無理な想定をすると「新倭・ヤマト族自治区」として沖縄の「琉球族自治区」と供に存在しているようなものであろうか。
 
 東トルキスタン共和国の話はさておき、長野の街中でそれ以上に目立ったのは中国の五星紅旗と沢山の中国人留学生である。
 多くは整然と北京の応援をしていたようであるが、反中国的日本人との間で衝突もあったようで若干の怪我人も出たらしい。
 それにしても長野で有れば日の丸と伴に五星紅旗を振れば良いのに中国のメディアやネット配信を意識したのか中国国旗と中国国家での応援は偏屈なナショナリズムを感じさせ、正直な所、気分は良くない。中国側には「開催国を尊重すべき」という視点を持った賢者はいないのだろうか。
 
 長野では5人の日本人と1人の台湾人が逮捕されたようであるが中国人の逮捕者は無かったということで、比較的混乱もなく行われたと言うのが公式見解のようである。今の所、フランス資本のカルフールに対する抗議活動のような対日行動は起きていないようだ。間もなく胡錦濤国家主席の来日が予定されている中では双方とも余分な混乱は生みたくないという感情だろう。
 
 翌27日のソウルでは長野を遙かに上回る中国人の人垣が出来て、韓国なのか中国なのか解らない状況に成っていた。
 中国が脱北者を北朝鮮に送還していることやチベット問題に対して抗議する韓国の市民団体がデモ隊を行ったようだが、圧倒的多数の中国人の声にかき消され、その上市民団体に対し投石の行為などが行われるなど、長野より荒れたようだ。
 ちなみに逮捕者は韓国人3人と中国人1人と朝鮮日報の記事にあった。この公式見解は混乱無しであろうか。
 
 話はずれるが、インターネットで読む朝鮮日報はお気に入りの一つである。特に東京特派員である鮮于鉦記者の記事が良い。隣国の視点から見た日本は、内側から見たものとは別の角度で色々気付かされる所がある。市政でも隣の市を評価し合う文化が有っても良いのかも知れない。
 
 明日の28日は北朝鮮の平壌を聖火が走る。今までの国と全く違う風景を見ることになり、その違和感が引き立つだろう。国政に携わる立場でもないが、国際化の進展の中でアジアの国々の動向が気になって止まないのである。