蔵書と図書館に思う
2008/05/29記
 最近読み終えた本を整理するスペースが無くなったので本棚を組み立て、整理しながら最近の読書について考えた。
 昨年5月から自らの読書を記録しておこうとHPに付けていたが、1年間で69タイトル:71冊(上下巻が2タイトル)の読書を行っていた事が解った。月平均6冊弱である。そのうち小説が(チャールズRジェンキンズ著の『告白』を小説に含めると)13タイトルに過ぎず、硬めの読書傾向だなと思いながら急に増えた新書を出版社別に新しい本棚に並べていた。
 
 私が名著と思う本の一つに佐野眞一著の『だれが「本」を殺すのか』(新潮文庫)という本があるが、そこでも最近の新書ラッシュを取り上げてあった。90年代中頃までは岩波新書・中公新書・講談社現代新書の3社が中心で年間3百点程度しか新刊が出ていなかった所が、文春・集英社・光文社・新潮等の参入により2003年度頃には2千4百点ぐらいに増えていると書いてある。最近ではさらに増えていることであろう。読んでいて昔の新書より内容の薄い本に出会うことが増えてきた気もする。
 養老孟司著の『バカの壁』等、人にあげてしまった本も沢山あるが取りあえず手持ちの新書を数えて見たら下表のようであった。 
出版社名 本棚の冊数 備 考
中公新書 73 ラクレを含む
岩波新書 69
講談社新書 15 現代新書と+αの合計
文春新書 10
新潮新書 10
集英社新書
光文社新書
PHP新書
その他の本 14 朝日・筑摩・祥伝社等
 やはり出版社が多様化して、点数で競い合っている状況が本棚からも見えてくる。
 
 出版業界や作家を育成するためには良い本は購入しなければならないと思うし、繰り返し読みそうだと思う作品は蔵書としてため込んでしまうので自宅の本が増える一方である。二度と読まないだろうと思われる本も、何故かなかなか古本に出す気にならない。
 1年間に読んだ71冊のうち5冊が自分で購入した本ではなく、そのうち1冊は袖ヶ浦図書館で5時間近く掛けて読み終えた本である。ちなみに購入した66冊中、古本屋で購入した本は7冊程度だと思うが記憶が曖昧である。
 
 『だれが「本」を殺すのか』には、図書館が利用率や貸出冊数という数字を目標にする余りベストセラーを大量購入して“無料貸本屋”状態になっているという指摘もあった。それを読んでから入手可能な本を図書館で借りて読むことに抵抗が残るようになった。
 もちろん図書購入費を捻出するのが困難な方が書物に接する手段としての図書館の存在は否定しないどころか、書籍離れをするより遙かに良いことだと思う。それ以上に専門書などの知識を集積してもらい、調べ物には答えられる存在であって貰いたいと思っている。
 橋下大阪府知事が図書館以外は民間に売却してしまえ、というような合理化の意見を述べたこともあるが、逆に図書館機構の重要さを訴えているようにも思えた。
 木更津図書館には、郷土資料コーナーという、地元企業や学校、各種団体が発行した資料を保管し閲覧している、とても価値の高い機能もある。これはインターネットでどんなに検索しても出てこないような資料なのである。さらに充実せねばと思う点である。
 
 図書館を利用しやすくするためには、@開館時間、A駐車場、B来館前の書籍のネット検索、等の対応が必要で、基本的には資金が必要となる問題である。財政難の現状でどうあるべきか、と考えながら、ついつい足は便利な袖ヶ浦図書館に向かうのであった。