消防操法大会で思う
2008/06/16記
 6月15日の日曜日。朝7時から木更津市消防操法大会が開催された。出場部の中には大会開催前に準備運動を兼ねて一回はリハーサルをしているものも居るだろうから、午前4時台に起床して市役所に向かった者も多かったことだろう。
 私は午前8時半頃、現場に着き演技終了までの多くの時間を団員の間で過ごした。その中で地区の消防後援会役員や消防団員と様々なことを話してきたので思ったことをまとめてみたい。
 
 まず成績であるが、下表の通りであった。私が要員をやっていた18年前の頃には順位のみ発表で得点は非公開としていたのであるが、順位決定の不透明さが問題となり、その後公開となった物である。なお、深い意味は無いが、愛着の現れで私が所属していた4分団の部を着色した。
 優勝・準優勝をされた部の皆様には賞賛と同時に、かずさ四市で行われる郡市大会への出場を頑張っていただけるようエールを送りたい。私が分団にいた平成10年の第44回大会で久津間が4分団として8年ぶりに優勝していただき、郡市大会に向けた練習を他の6部が手伝うことで友情が深まった記憶があるので、今回も良い思い出になる事を期待したい。 
ポンプ自動車の部 
成績 部名 地区名 得点 備 考
1 8-2 下内橋・戸国 142.0 本年郡市大会出場
2 1-1 中央 140.0 来年郡市大会出場
3 4-3 久津間 134.0 入 賞
4 4-1 中里 132.5
5 8-6 下郡 129.0
6 5-1 矢那 122.5
7 8-4 真里谷 122.5
8 2-1 桜井 120.0
9 1-2 太田・請西 113.5
10 7-4 牛袋 108.0
11 6-5 牛込 98.0
12 3-1 旧西清川 96.5
13 6-3 畔戸 72.5
14 6-1 中島 50.0
小型ポンプの部 
成績 部名 地区名 得点 備 考
1 5-3 高倉・草敷 67.0 本年郡市大会出場
2 5-2 下矢那 67.0 来年郡市大会出場
3 7-1 望陀・有吉 63.0 入 賞
4 8-7 田川 60.5 入 賞
5 7-2 大寺・十日市場 59.5 入 賞
6 2-5 上烏田 59.0 入 賞
7 7-3 井尻・曽根・牛袋野 55.0
8 4-6 西山 53.0
9 4-2 江川 50.0
10 6-2 中島高洲 48.0
11 4-4 万石 47.5
12 4-7 旧高柳 45.5
13 8-1 真里・大稲 45.0
14 3-3 中尾・伊豆島 44.0
15 3-2 菅生・椿 43.0
16 8-5 真里谷・地蔵堂 42.0
17 3-4 犬成・笹子 41.0
18 4-5 旧住吉町 40.5
19 8-3 茅野 38.5
20 2-4 大久保・下烏田 38.0
21 2-3 畑沢 37.0
22 2-2 小浜 27.0
23 6-4 瓜倉 26.5
24 6-6 中野 21.0
25 6-7 見立 9.0
 しかし、操法大会に全面的に賛成かと言うと、個人的な意見では疑問がある。何より消防団員にとって、本業の勤務を行いながら行う練習が大変な負荷に成っていることだ。それは消防団員の人員不足にも繋がっている。平成19年4月1日現在の消防団定数663人に対し消防団実数は604人と充足率は91.1%に過ぎない。さらに入団以降に木更津市から引っ越して名前だけ団員に成っている「幽霊団員」を除くと実体は8割程度と思われる。操法の練習がなければ勧誘しやすいのだが・・・という声は現役の頃に良く聞いていた。
 
 地元の資金的な支援活動は大きな割合を占めており、一緒に観戦していた某区長さんは「区費のほぼ半分を消防団に使用しているが、区民の中には『何故こんなに消防団に金を回さねばならない』と言う者も多く理解を得るのが大変だ」とこぼしていた。
 消防団を知らない住民の中には消防団の訓練後の飲食が贅沢だと言い、消防団員からは残業を無理に替わってもらいながら行う練習が理解されないという悲しみも聞こえる。さらに、もう15年も前になるが某高校教師と話していたときに「消防団は地区のボス支配のために有るから反対だ」という意見も聞いた。私も反論したが、この間にある意識の断層は埋めがたいほど大きい。
 
 今回の大会でも、私と一緒に消防活動を行っていた知人が未だに現役の消防団であり「今、うちの部でもっとも経験不足な者が8年生で、最長老は17年目に成っており、新人が入らず辞められない」と嘆いていた。その部では地元での理解の問題以前に後援会世帯数が少なすぎる問題も抱えていた。
 6月1日現在の住民基本台帳人口をその地域の消防部数で割ると下表の通り最大30倍近い、大変な地域差が有ることが解る。
 さらにその地域の中でも人口の偏在は大きく、3-1(旧西清川)や4-7(旧高柳)のように範囲の人口が1万人近い部も有れば、百世帯程度で1個部を維持している部もある。少ない人口で消防団を維持する集落では、10世帯に1軒以上の割合で消防団員を出さねば成らない状況なのだ。
 一方、清見台や八幡台のように住民が住み着いて30年以上経過した所でも消防団を持たない自治会も沢山ある。ただし近くの消防団に協力金のような形で金銭的支援はしているようだ。
 市の姿勢は歴史的な背景もあって行政の介入は難しく地域で話し合い解決して貰いたいというものであるが、この明らかに存在する不公平感は団員の心に重くのし掛かっている。 
分団名 地域名 A:地域人口 B:消防部数 A/B 対1分団比
1分団 旧木更津町 37,925 2 18,963 1.0
2分団 旧波岡村 25,218 5 5,044 3.8
3分団 旧清川村 26,869 4 6,717 2.8
4分団 旧巌根村 18,080 7 2,583 7.3
5分団 旧鎌足村 2,647 3 882 21.5
6分団 旧金田村 4,496 7 642 29.5
7分団 旧中郷村 3,345 4 836 22.7
8分団 旧富来田町 7,330 7 1,047 18.1
合 計 125,910 39 3,228 5.9
 
 この大会の前日に発生した岩手・宮城内陸地震の被害を見ていると、緊急時に大量に人的対応を行える消防団組織を上手に維持することが地域の安全のためには必要だと実感される。今回は自衛隊の活躍が目立つが、雲仙普賢岳噴火での多数の消防団員の殉職や、阪神大震災での北淡町消防団の救出活動など、大規模災害での消防団活動は深く記憶に残されているのだ。
 
 消防の広域化が始まると消防団の拡大も進むのだろうか。現在木更津は8分団39個部で構成されているが、君津市は5支団44個分団、富津市は12分団16個部、袖ケ浦市は19個分団と実働部隊が118組織にもなる。そんな大組織になってしまうと指揮系統も大変な事になるだろう。まずは、その前にやることは「支団」「分団」「部」という名称の統一かも知れない。
 
 現役消防団員の篠崎議員も居られるが、消防経験者として何かをせねばならないな、と操法大会を見ながら思っていた。