議員の野球拳問題について思う
2008/06/22記
 今月13日に新聞報道で香取市議会の会派視察で野球拳をやっていたという報道がされていた。コンパニオンの料金も公費でないし、法に抵触するような行為もしていないから、若干品位の点でどうかと思う程度で直ぐに無視されるニュースだろうと思っていた。
 しかし、今日の午前中のニュースでも特集がされており、「視察中であり不適切な行為だった。深く反省している」という反省の言葉が放映され続けていた。
 正直なところ、報道には若干の違和感を覚えざるを得ない。
 
 議員は見識と品格の双方を求められる立場である以上、社会規範を示さねば成らぬ事は当然であり、法律に抵触していなくとも道徳の視点から物事を決定しなければいけない。昔、某団体が会合後に水着姿の女性の上に盛りつけられた刺身、いわゆる女体盛りを楽しんでいる写真報道が問題となったが、これは婦人や青少年にとても見せられないような品位という点で失格であろう。
 しかし、道徳や品格の基準がやっかいである。
 
 木更津甚句を伝える芸者衆は木更津の文化であることは紛れもないが、それを酒席に呼ぶと不道徳になる、とは思えないのだ。京都で芸者や舞子の文化に触れるのに禁酒は似合わないだろう。
 今回の報道でもコンパニオンを呼んだことより大声で野球拳をやっていたという投書の中身を重視している事は解るが、これが行きすぎた萎縮になるのも気がかりだ。
 せっかく視察で本市を訪れる他市の議員は、清水議長の尽力により本市に宿泊するように成ったのに、街の活性化に繋がる夜の消費活動を抑えてしまうのも、気になるところである。
 
 さらには視察に限らず、議会活動中は店で飲むことまでマスコミが不道徳だと煽り立てるような方向には成らないかと心配でもある。非常識な行為は論外であるが、一般的なサラリーマンが行っている事でさえ否定してしまっては議員の担い手が潔癖性に偏り、市民から離れていってしまうような気もするのである。
 あえて批判を恐れずに言うと、類似都市の中心部の活性化の状況の一端を理解し、その要因を吸収するためには、夜の街に出てその地の市民と飲みながら意見を交わすことが近道である。
 
 ただ、今回の報道でも公務員や議員を闇雲に叩いているだけでなく行政視察の意味を問い合わせている事は同感である。議員間の懇親を深める意味の『観光旅行』であれば、当然私費で行うべきであり、視察結果をどこまで持ち帰る事が出来るかという、費用対効果の視点は大切にしなければならない。
 しかし、報道はあくまで人目に付く『野球拳』なのである。
 
 多くの地方議員に警鐘を鳴らすという事なら、この報道も受け入れるし、居酒屋タクシーという公務員に対する警鐘も理解しよう。しかし、同じ時間を使うなら、国と県と市というように二重三重行政による無駄や、郵政民営化と財政投融資の変化など、もっと国民に知らしめるべき問題が多いと思うのに、報道の多くがゴシップに走ることは大きな問題から目を逸らさせているようで気になる。
 雨の日曜日にテレビを見ながら、そんな事を考えていた。