入国管理センターを考える
2008/07/14記
 どうも国際的な話ばかり続けて申し訳ないが、11日に発生した北朝鮮内の金剛山観光特区の北朝鮮兵士による韓国人観光客の銃撃殺人事件にはショックを隠せない。
 朝鮮日報によれば、「金剛山のゴルフ場でプレーしている最中、OB地域にボールが飛んで行ったとき、ボールを探しに森の中へ入って、北朝鮮の兵士から銃口を向けられるケースが少なくない」という事である。起こりべくして起きた事件だと言う人もいる。
 韓国の観光客と認識できるだけの材料が有りながら銃撃してしまう軍人の姿に、北朝鮮の国内では簡単に国民が殺されている状況が想像され、体制崩壊後の大規模難民という話が現実感を帯びて感じられてきた。
 
 日本は極めて難民認定を受けにくい国である。それでも帰還事業で渡った9万人強、最低でも日本国籍保有者の6千人強は日本が負担するしかないであろう。しかし、それ以外にも多くの難民が訪れる可能性がある。小船でも流れ着くことは秋田県の例で明かである。一時期のベトナムボートピープルのように成らないとも限らない。さらにその場合には中国本土の人が混じり込むことも予見できる。
 
 日本では現在でも推定約20万人(平成19年1月1日現在:政府発表値)の外国人が不法滞在しており、法務省入国管理局が厳格に対応している。具体的には日本に3箇所の入国管理センターを設け、基本的に強制帰国までの間、拘置している。
 ・東日本入国管理センター:茨城県牛久市
 ・西日本入国管理センター:大阪府茨木市
 ・大村入国管理センター:長崎県大村市
 最大規模の大村入国管理センターでも収容定員は800名程度であり、摘発強化で過剰収容状態になっている東日本入国管理センターから移送されている外国人も多いらしい。
 東日本入国管理センターも収容棟の拡張・増設工事を行い、また東京・品川にも定員800名の入国管理局新庁舎を建てている。それでもアジアの経済障壁が低くなり、貧困層でも容易に航空券を入手できるようになりつつある状況の中で、より大きな収容施設が必要になってきている事も事実である。
 
 山口県美祢市では売れ残った工業団地に刑務所を誘致し、それも複数の都市と競い合った結果として初の民間委託による刑務所を所有するに至った。刑務所により、人口が増加して基準財政額が増加して交付金が増えること、消費者の増加で地域経済が活性化されること等を見込んでの政策決定と聞いている。
 
 本市の場合、国際化する羽田と現在の国際空港である成田の中間という位置付けを考えた場合、入国管理センターの誘致と言うことも選択肢の一つに考えても良いものと思う。
 もちろん異質な物に対する住民の不安なども有り、簡単な話ではなく、また刑務所のように日本国籍を持っている人口が増えないため交付金の増額には繋がらないなど、メリットやデメリットは充分に検討されるべきと思うが、様々なことを考えることは悪くなかろう。
 朝鮮半島で起きたニュースを見ながら、その様なことを考えていた。