食料危機の中で食料生産を考える
2008/07/23記
 先週18日にTBSで食糧危機特集番組が放送された。パネラーも農業を実際に行っているタレント6名という事で軽くもなく硬くもなく良い放送であった。
 
 それを見た2日後に西山出羽三山講の皆様と2泊3日で月山まで行ってきた。参加者の多くが米作りを行っている方々で、往復のバスの中での雑談では米価の低さや米作りを止めた誰それの話題などが話されていた。米作に適した湿地地帯でもあるにも関わらず、もっと商業作物を作り加工食品にして販売しなければ成らないだろうという若者の言葉は経済状況から見れば事実であるが、見た番組との差を感じずにはいられない。カロリーベースの生産力も維持するべきと考えるのである。
 
 炊飯用の米だけでなく、米粉にしてパンを作ったり、飼料用の量産品種を考えようとか、米作りを取り巻く社会的な環境の変化がある。それ以上に地球温暖化により高温下で美味の米が作れる技術も求められるだろう。
 しかし相手が稲という生物である以上、品種改良は短期で結果を出すことは困難であり、『簡単に色々な種類の米を作るようにはなれない。適した土を作るのも大変である』という生産者の声には説得力が有る。
 
 3月議会で木更津市としての食糧自給率を質問したが、米以外は算出できないという話であった。今年から取り組むと言うことなので秋の収穫を待って発表されると思うが、地域の東京湾の対岸に対するアドバンテージを維持するために水源の確保と食糧生産力の維持は重要なことである。
 しかし、農家の経営安定を考えると、狭い地域だけで米価を引き上げることも補助金を出すことも難しく、政治に出来ることは学校給食で地元米を使用することだけでは芸が足りないだろうと思うが、かと言って良いアイディアも浮かんでこない。取りあえず朝昼晩と米を食うことしかできないが、時々はラーメンを食べてしまったりするから全面的な協力でもない自分が歯がゆくも成る。
 
 世界的な異常気象で食料生産力が低下し、輸出禁止が頻発することで日本国内の食糧難が発生。米泥棒や野菜泥棒が横行する中で東京の人達が内房線で農作物を求めて木更津に訪れる。『パソコンやデジカメを何台積まれても野菜は譲れないな』などという会話が交わされることが無いことを猛暑の中で思っている。
 
 追記:世界貿易機関(WTO)の交渉で、日本の農業にたいする保護の範囲がより縮小されそうである。基本は関税の問題なので高くても国産品を購入する消費者が殆どで有れば大きな問題ではないが、実際には価格で選ぶ消費者が多い以上、日本農業の衰退は避けようがない。
 我々のような消費者には、出来る限り地域の農家が作った物を積極的に購入するという意識を高めたい物である。その様な意味では、各地の直販物産店や農協の朝市などの賑わいは良い傾向である。大きなうねりに成って貰いたいものである。