公共財産の所有限界を考える
2008/09/05記
 今日で9月議会の個人質問も終了し、来週は常任委員会、翌週は決算特別委員会を経て月末の会期末を迎えることになる。
 今回の議会で学校再編と土木財産の維持管理をテーマに取り上げたが、それらを含めて上位概念に公共財産の所有限界を考える必要がある事に行き着いた。
 
 地方自治体も市税や交付税などの収入で多くの行政サービスを支出する経営組織として考えると、維持管理できる公共財産に量的な限界が生じてくると考えるのである。
 
 戦後、何もかもが不足しており、住民の需要に基づいて新たな施設(学校や公民館や道路など)を作っている間は古い資産が僅かしか残っておらず、新たな建設投資をどんどん行うことが可能であった。さらにその頃は国民の所得も少なかったので建設費や維持管理費も安価に抑えることが可能であった。
 所得の増加率が著しい中では、安価に建設された施設を償還していくことも容易であり、自治体経営も容易に拡大できた。
 
 この木更津で考えた場合、新日鐵の君津進出や京葉工業地帯の造成に伴い行政規模の拡大が求められ、もともと木更津、波岡、清川、巌根の4地区で構成されていた旧木更津市に鎌足村、金田村、中郷村を吸収し、最後に富岡村と馬来田町の合併で出来た富来田町を吸収して現在の市域に至っている。
 清見台から始まった区画整理や伊藤忠商事などの都市開発も大規模に展開し、清見台・畑沢・大久保・畑沢等に住宅団地が完成し、多くの道路や排水路などが市に移管されてきた。また人口の増加に伴って多くの小中学校が出来た。
 
 木更津は君津郡市の中心として、地域唯一の図書館や市営プールなどを保持してきたが、周辺各市がより良い施設を建設して追い越し、現在は公設市場が地域唯一の存在として木更津市のみの負担で維持されている。
 
 多くの財産が新鮮なうちは良かったが、高度成長より50年も経つと更新の時期を迎えてくる。通常の維持管理費でも大変なのに大規模改修が目の前に近づいてくれば新規建設の余力は無くなってくる。
 もちろん、人口増加や産業誘致、所得の上昇などが続けば昔のように解決できるだろうが、世界最高水準の賃金になってしまった日本から安価な労働を求めて産業が国境を越える時代にあっては難しい要求である。
 その状況を考えると、公共財産について、使命を終えたものや他に代替えがきくものは破棄する勇気を持つ時期が来たのではないだろうかと思うのである。
 
 道路改良で旧道が残地として残れば積極的に払い下げを行うべきであるし、青道赤道についても機能に応じて払い下げを検討すべきだろう。古い橋梁は近くに別の橋梁が有る場合は廃棄を選択肢に加えるべきと思うし、平成元年から平成19年までの間に小学生は 30.2%減、中学生は46.2%減と児童生徒が大幅に減少している中では学校の統廃合を検討するべきであろう。
 
 9月4日の千葉日報で銚子市は2月に設置した再編検討委員会で小学校13校を8校に中学校8校を3校に統合する案の中間報告を発表したことが報じられていた。
 木更津市では今議会で私の質問に対して、学校規模適正化委員会を3月に設置すると答えていたが、設置を前倒しすることや議論を早めることなどを検討して貰いたいところである。