飛騨高山にて思う
2008/09/08記
 今年はおよそ20年ぶりぐらいに『青春18切符』を買ってしまった。この切符はJR全社の各駅・快速列車に1日乗り放題を5回出来るもので、金額は11,500円である。
 購入のきっかけは木更津総合高校の甲子園出場であり、そのために8月1〜3日で関西までの旅をしてきた。その後、9月議会開始までに上越線を利用して谷川岳周辺に行く予定であったが自分の都合が良いときに天候が悪く、2日分未使用のまま期限の9月10日が迫ってきていた。
 未使用も勿体ないし、温泉に入り、ゆっくり本も読みたいと思ったので9月6〜7日の土日を使い、飛騨高山まで往復してきた。
 別に他の都市でも良かったのだが有る程度遠い都市で、駅の近くに立地する入ったことがない温泉として思いついたのが高山だっただけのことである。
 
 朝6時に出発しても何回も乗り継ぎを繰り返して高山駅に着いたのは18:08であった。駅前に出ると午後6時を回っているのに観光案内所が開いていた。役所の閉まる時間には閉めてしまう街が、我が町も含め多い中で好感が持てると、パンフレットを見ると英語、中国語だけでなく、イタリア語、フランス語、スペイン語のガイドがあり、中国語も大陸と台湾で使う漢字が違うために繁体と簡体の両方が用意してあったのには驚いた。
 パンフレット(当然日本語版)を見ると、公衆便所が図示してある中に15箇所もオストメイト対応という文字が見え、数日前の議会を思い出した。
 私の次に個人質問をした同期の岡田貴志議員が行った質問で、木更津市内のオストメイト(人工肛門使用者)対応トイレは海ほたる、木更津駅東口立寄館銀の鈴、君津中央病院程度しかない事を知っていたので、観光行政は福祉が必修と理解したのである。
 なお、このような弱者に目の行く視点の政治活動も必要だと岡田貴志議員の質問を聴きながら思ったものである。
 
 案内所で教わった市内の店で食事を取ると、おもてなしの対応も良い。伊豆や富士箱根周辺では大変不快な対応に合うことが多いので、観光が主要な産業であるから対応が良いと言うわけでなく、地域一帯で取り組みを行っているためだろうと感じる。
 夜は国民宿舎飛騨に泊まって温泉に浸かり、翌日は早く出発し、朝市に向かった。
 
 陣屋前の朝市は観光客も多いのであるが、農作物とかは地産地消の場になっているようで、考えると時代の要望に合っている。古い街並みに出ていくと流石に観光客の密度が高くなり、両側の店も酒や醤油、アンティークや土産など様々な商売を行い活性化している。飛騨高山も5回目であるが、だんだん賑やかな観光地になっているようだ。
 宮川朝市会場に移動し、市内を流れる宮川に降りる。この清流を木更津で望むことは無理だとしても、水に親しめる空間づくりは参考にするところは多いのではと思う。
 帰路も各駅列車だから時間が掛かるので朝10時には駅に帰ったが、ぶらりと他の街を見に行くことも知性の活性化のためには役に立つな、と改めて思ったところである。
 
 なお、目的の読書は『ビッグプロジェクト』(飯吉厚夫・村岡克紀著:新潮新書)、『超訳「資本論」』(的場昭弘著:祥伝社新書)、『夜のピクニック』(恩田陸著:新潮文庫)の3冊を読み終え、『ジャーナリズム崩壊』(上杉隆:幻冬舎新書)を半分程度しか読めなかった。やはり列車はウトウトしているのが最も気持ちよい事を再認識した。