保育園と幼稚園の役割を考える
2008/10/03記
 木更津市には7つの市立保育園と6つの民間保育園があり、現在は官民協働の流れの中で、市立保育園を民間に経営してもらうように政策を進めているが、父兄等の反発もあり順調に進んでいないどころか、当初は平成21年に実施するスケジュールであったものが、平成21年も引き続き検討する事に後退した。
 
 民間に委譲する目的を市の行政アドバンスプランから抜粋すると『市立保育園の民営化を進めることによって、民間保育園の効率性・柔軟性を活かし、多様化する保育需要に対応します。なお、児童福祉法の改正も予定され、子育て支援施策、保育施策も大幅な見直しが必要なことから、次世代育成支援施策の見直しとあわせ、民営化の計画、手法等を整理し、実現を目指します。』とある。実際に市立保育園の運営コストの高さは議会でも様々に議論されているし、民間保育園が市立保育園に比べて劣っているという話も聞かないばかりでなく評価の高い保育も行われている。
 
 さて、小学校入学前の児童が日中の大半の時間を過ごし、集団行動を学ぶ場としては保育園以外にも幼稚園がある。保育所は厚生労働省所管の児童福祉施設であり、幼稚園は文部科学省所管の教育施設であるという制度上の違いにより内容や時間などに差があるが、全ての父兄が根元的な差を実感しているものでは無いだろう。なお、木更津市には13の幼稚園があり、その全てが民間の教育法人によるものである。
 
 ここで市内の幼稚園と保育園の位置が気になり調べてみた。
記号 保育園名 定員 現数 備 考
●01 桜井 120 129  
●02 吾妻 40 27  
●03 中郷 60 87  
●04 わかば 120 130  
●05 祇園 45 76  
●06 久津間 90 62  
●07 鎌足 40 40  
  市立保育園小計 515 551  
●01 木更津社会館 140 168  
●02 富来田 60 68 上記図面外
●03 長須賀 210 241  
●04 岩根 120 160  
●05 ゆりかご 100 130  
●06 木更津むつみ 150 182  
  民間保育園小計 780 949  
 保育園合計 1,295 1,500 管外委託等が104名存在
■01 岩根みどり 440 227  
■02 みつわ 200 215  
■03 きさらづ 190 107  
■04 第二みどり 200 173  
■05 清見台 370 160  
■06 畑沢 270 228  
■07 木更津つくし 300 261  
■08 百合学園 240 203  
■09 高柳 240 215  
■10 金田 140 44  
■11 八幡台 200 182  
■12 木更津いづみ 170 45 上記図面外
■13 つくしの森 170 166  
 幼稚園合計 3,130 2,226 市外の児童258名を含む
保育園と幼稚園の総計 4,425 3,726  
 保育園のデータは決算委員会で配布された平成19年度保育事業報告書を用い、幼稚園のデータは平成20年度幼稚園就園奨励費補助金に関する調査資料を用いて私が作成した。
 
 地図を見て明らかなように、人口増加の著しい南東部の丘陵地帯では幼稚園が卓越し、そちらの父兄は保育的機能も期待して幼稚園に任せていると思われるし、中郷や鎌足では幼稚園バスで通う子供達以外は地元の保育園に通わせる中で、教育効果も求めていると思われる。
 
 待機児童0を木更津市は保育園事業として誇っているが、実状は若干定数を超えて保育を行っている状況である。一方幼稚園は大幅に定数を下回っている所も多く、幼稚園を児童福祉施策の観点で活用することを検討すれば市立保育園を民間に経営してもらうだけではなく、場合によっては廃止の検討を進める事も可能ではないかと思う。
 
 9月議会に『平成21年私立幼稚園関係予算要望書』が幼稚園13園の連名の元、内房地区私立幼稚園協会より8月20日に出されたことの報告があった。それには市によって異なる補助や助成制度の一覧が添付されていた。
 小さい子供を抱える若い親が隣接市とどちらで子育てをするか悩んだときに、木更津を見限ることがないように制度を整えるのが政治の役割であろうと考えている。
 幼保一元化の議論が国でも交わされ、全国的に特区制度を利用する中で進められている状況もある。児童や親にも優しく、幼稚園や保育園の関係者に無理をさせず、財政負担を極力生じない方法という難しい問題も考えて行かねばならないと思っている。