路線バスを考える
2009/01/11記
 自動車所有率の向上に伴い、都市がどんどん郊外に広がるようになってきた。木更津でも人口増加が著しい請西東・請西南・ほたる野・港南台・羽鳥野等は駅から歩く事が困難な程度の距離にあるが、現在の所、バス路線が運行されていない。
 12月議会でも国吉、白坂、荻野議員の3名が路線バスについて質問が行なわれた。市もバス事業に働きかけはしているという事であるが、住宅の密度や自家用車の保有状況などを考えると採算に合わないので路線を開設しないという回答であった。
 
 一方、既存路線のうち、採算が合わなくなっている路線に対しては補助金を支出している。バス会社の主張では、路線内を平均して15名の乗客がいないと採算割れに成るらしい。
 現在木更津市には20路線34系統のバスがあり、6路線には補助金が払われている上に、中郷線のように廃止となった所では市による委託運行が行われている状況である。
 バス負担金の平成19年度決算額は2893万8510円で有ったが、平成20年度予算では45百万円と大幅に増えている。これは赤字転落をするバス路線が増えると予想されるためである。
 
 旧集落では高齢化が進み、反射神経の低下した人達でも自ら運転しなければ用を足すことも出来ない社会になっている。事故の発生可能性が高くなるので公共交通で補うことが出来れば理想なのだが、財政的に厳しいのが現状である。
 補助を行いながら運行している路線でも本数が少なく、決して利便性が高いわけではない。その不便さで利用者が減少するという悪循環に陥っている各所も多く見られる。
 私の住む江川を経由して金田中島に向かうバス路線は右の写真のように片道6本しかなく、最終バスも江川を18時2分に出てしまう。この時間では通勤に使うことは困難だろう。
 その上に年末年始を休むというのも何とも言えない公共機関である。
 波岡地区ではNPO団体で自動車の運行を行っている。献身的な取組には頭が下がるが、採算性は容易ではないようだから全市に広がることは出来ずにいる。
 
 このような公共交通機関の問題を解決するための取組が様々な自治体で行われている。
 青森市のように除雪という負担まで考え住民を駅周辺に住ませるというコンパクトシティの方向を目指すのも解決の一つの手段ではあるが、集落から住民を奪って良いのかと悩ましい問題はある。
 そもそも利用者が少ないのならバスの変わりに需要に応じてタクシーを運行して、その補助を行う方が安い事もあるようだ。デマンド交通システムという制度で、幾つかの自治体では既に採用されている。
 
 実際の運用状況を視察するために、今月末に会派で世羅町に行って来る。下水処理に都市下水道と合併浄化槽が有るように、人口密度や需要に併せて複数のメニューを柔軟に対応するように考えないと、低コストの高サービスは難しいであろう。