ドバイで考える | |||
2009/01/18記 | |||
11日から15日までの5日間、現地に滞在したのが3日間である、アラビア半島のアラブ首長国連邦ドバイを旅してきた。 旅から帰ってきたので恒例の現地で考えたことを記載したい。 アラブ首長国連邦は言葉通り7つの首長国から成る連邦国家で過半数の面積を所有し首都でもあるのはアブダビで、ドバイはそれに次ぐ首長国である。日本の大使館も首都であるアブダビに有りドバイには総領事館が置かれている。石油もアブダビで取れるだけであるが、経済的に成長しているのはドバイである。 外務省のHPによると人口449万人(2007年)と連邦国家全体で千葉県より少なく、ドバイだけに限れば千葉市程度だけしか居ないはずである。 現地はそんなデータが嘘のように幕張新都心が3個以上出来たような高層都市であり、ドバイ国際空港も成田程度に広い。その上、滑走路を6本も持つ新空港が建設中という話であるが現場を確認していない。そのくせ未だに公共交通機関はバスだけで軌道交通が無いという近代都市にはあるまじき状況である。千葉市だって政令指定でモノレールの設置が求められたように、現在も駅舎工事が最盛期を迎えていた。多分、来年には一気に数十kmという単位で開通を迎えそうな状況ではあった。 それ以外のビルでも市内で一斉に工事中であり、NewsWeekが2009.1.21号で『ドバイの宴の終演』と言うほどの景気後退の局面は現場では見えなかった。 ちなみに、私の宿泊したホテルが有る、路地が込み入る旧市街は比較的狭い範囲に集中しており、その様な街では出稼ぎと思われるインドやパキスタン、バングラデシュの人達がひしめいて生活していた。最近の大規模施設周辺には生活の気配が少ないので、わずか20年前は単なる小さな港町だったというのは簡単に信じることが出来る都市構造だった。 ドバイの成長の理由は幾つか考えられる。 まず、イスラム教の教えで貸したお金で金利を取っては成らないので、余裕資金は貸出に回るのでなく投資に向かうことに成る。投資を受け入れる先としてドバイは大規模開発を繰り返した。そのダイナミックさが新鮮に受け入れられたようで、人々の注目が集まり、投資が人を呼び、不動産の不足感は更なる建設投資を招き、気が付くと拡大の大きな循環が生じていた。 次に、古くからの港湾交易都市で有ったため、イスラム教国には珍しくよそ者を排除する空気が無く、商慣習も確立しており、銀行や為替のような基盤がしっかりしていたことも有るだろう。 3番目に政策誘導が良かった事も有るが、最高級のホテルとか世界最大級のショッピングモールとかが展開され、リゾート的な好感を持たれる街づくりを進めながら、旧市街も大切に保存してアラビアンナイトの世界観も大切にしていること等で都市イメージが向上している事も世界から人を引きつける理由であろう。 4番目には周辺に広がるのが平坦な砂漠であり、開発余地が多かったことが上げられる。そうでなければ世界最大級の施設が乱立する事は難しかっただろう。 最後に、何より重要なトップのリーダーシップであろう。大胆な規制緩和や免税措置等を通じて外国企業を引っ張ってきた。また世界の注目を集めるような投資を行うことで宣伝効果を狙っている所は凄い。世界最高のビルなどは、同じ床面積を確保する上では非効率な建築物であると考えるが、注目を集めるだけならBestな選択だと思う。 これらのことは、経済の発展は開発する土地の広ささえ有れば、後は人材や規制緩和、交通インフラの整備などの人的条件が揃えば、石油のような地下資源が無くても発展可能だと示しているのかも知れない。 ひるがえり地元を思ったときに、何故、あれほど膨大な投資で出来たアクアラインが有り、対岸の羽田空港からも近く、金田やアカデミアのような開発余地もある木更津に投資が向かわないのだろうか。ドバイには遠く及ばない物の、木更津に進出したい、木更津に投資したいというように都市イメージを向上させる視点が必要だ、と5時間の時差の中で考えていた。 |