経済危機と雇用を考える
2009/01/24記
 前回は築地の商業施設を記載したが、次いで木更津の重要企業である新日鐵とソニーもアメリカ発の金融危機による危機状況の発表が本社より行われたので記載する。
 今度は、産経新聞が配信した2件のニュースを抜粋記載する。
 
 ソニーが業績見通しを2600億円の赤字に下方修正
 [1月22日15時38分配信]
 ソニーは22日、平成21年3月期の連結決算で、営業損益が2600億円の赤字決算になると発表した。昨年10月時点では2000億円の黒字決算と見込んでいた。ソニーの営業赤字は14年ぶり。
 世界的な景気後退にともなう事業環境の悪化、円高の進行、日本の株式相場下落の影響、構造改革費用の追加などで、2008年度下半期における連結売上高、営業利益が10月時点の見通しを大幅に下回ると判断した。
 世界的な景気悪化でソニーは昨年10月に業績を下方修正したが、その後も円高が進み、大幅な減益要因となった。消費不振を受けて液晶テレビなどは値下げを迫られており、採算が悪化。約1万6000人の人員削減を柱とした構造改革費や保有株式の評価損もふくらんだ。<後略>
 
 新日鉄、減産幅倍増 過去最大規模に
 [1月23日10時15分配信]
 国内鉄鋼最大手の新日本製鉄は23日、平成20年度の粗鋼生産の減産幅が昨年11月段階で見込んでいた前年度実績に比べ200万トン強から400万トン強に倍増する見通しになったと発表した。これに伴い、大分製鉄所(大分市)で予定していた更新工事にともなう高炉1基の生産休止を、予定より1カ月以上前倒して、2月上旬にも実施する。
 国内鉄鋼メーカーが需要の3割超を依存する自動車業界で、トヨタ自動車が平成21年2〜3月の国内生産台数を前年同期比で半減させるなど減産が相次いでいるため。君津製作所(千葉県君津市)でも高炉1基の休止を検討しているとの報道については、「現段階ではない」と否定した。
 新日鉄の宗岡社長は23日の会見で、「実体経済は深刻な落ち込みをみせている」と、減産拡大の理由を説明した。さらに、鉄鉱石から鉄を取り出す基幹設備の高炉の生産中止を、当初予定の3月7日から、2月初めに早める計画見直しに言及した。
 ただ、宗岡社長は、自動車や家電業界の在庫調整などが年度内にはほぼ終わり、実態以上の鉄鋼需要の落ち込みが「年央には底を打つ」との見方を繰り返した。<後略>
 
 大分県杵築市ではキャノンで働いていた非正規雇用者(派遣社員)の解雇に伴い、一時的に市役所が雇用を守るために採用して凌いだ事例が年末である先月に取り上げられた。
 大分やキャノンの特殊事情では無いだろうと解っていたが、本市で同様の事態が発生する可能性を今回の記事の中から読みとり、現実感の高まりに気が重くなる。
 
 新日鐵君津製鉄所もソニー木更津も現在の所は安定した状況を示しており、現実的な雇用問題は顕著になっていない。この地域は現況のままである、という可能性の方が高いであろう。
 経済の動向は大きな振幅を持つと考えられるし、雇用問題の規模も想定できない段階で悪戯に騒ぎ出すことは無用な不安心理を生み出すことになり、ひいては地域の消費活動へ悪影響を生じるだけになる。
 
 しかし、考えられる可能性がある段階で危機管理を検討し始めることが行政や政治の責務と指摘する向きもある。
 大分県杵築市と異なり、大規模な雇用余地のある京浜地区が通勤圏に有るという立地条件や、アメリカの新公共事業の核になる産業に関する企業では、これから需要が拡大する可能性があるという希望など、不確定要素が多く、ピントの外れた検討を進める事になる可能性が高いため、慎重に進むべき問題であろう。
 
 さらには財政の支出と収入の乖離幅が大きい中で、新たな人件費を自治体に求めることは難しいであろう。
 財政の圧迫が少なく雇用を増やす手法としてワーキングシェアが議論に上がってくるが、現在の雇用者(=職員)にとっては時短以上に賃金減少が厳しい現実的問題となる。
 何が出来るか考えながらも、何もしなくて良い状況に成ることをひたすら願っている。