郷土の銘木を見ながら思う
2009/02/06記
 『木更津造園建設業協同組合』が実施してきた『木更津銘木百選事業』で、光明寺のクロマツや高蔵寺のスギ・コウヤマキ・ツガ・スダジイ・カマタリザクラ等を含む29本が選定されたと発表があり、市役所2階のホールで写真展示が行われている。
 郷土の銘木というものは精神的なシンボルになるもので、この様な素晴らしい事業を始めた関係者の方々には頭が下がる思いである。残る71本の銘木の選定が楽しみである。
 今回の選定は市民からの推薦に寄るもので、選ばれた木々は矢那や富来田地区が多いのも、やはり緑が溢れる豊かな環境であるからだろう。我が地元の岩根地区には山が無く、屋敷森しか緑が無いが、それでも個人的に思い入れのある木はある。
 
 今年百周年を迎える岩根小学校でシンボルとなっているのはプラタナス(すすかげの木)で、昭和の初期に植えられたと言うからまだ樹齢は80年弱と言うところだろうから銘木と言うには若いかも知れない。
 
 地域の巨木としては江川総合運動公園に隣接する熊野神社境内にあるイチョウの木を上げることが出来る。
 やはり樹齢は解らないが、100年ぐらいでは無いかと思われる。写真は冬枯れしているが夏には濃い緑に被われ、秋には銀杏の実を沢山落とす木である。
 さて、この木と後ろにあるお社であるが、実は陸上自衛隊木更津駐屯地の滑走路を起点にした航空法の高度制限で0mに位置するものである。つまり昨年に静岡空港で問題になったように高度制限地域に位置する樹木や社なのである。
 もっとも、これよりも滑走路に近い地点に自衛隊周辺に設置されたフェンスが有るので、実際には多くのものが航空法に抵触している実体がある。それでもこの高度制限を受ける地域に居住していた住民は昭和30年代に補償を受けて移転していった。だから昔は集落の中に有った神社だが、現在は隣接して生活を営むものが居ない、夜中には暗く寂しい場所になってしまっている。
 
 現在進められている江川総合運動公園の拡張計画に当たり、バックネットやゴールポストが航空法の制限に対してどうかという意見も出たようだ。現実には多くの高木も茂り、高度上の問題も生じていないが、ルールを厳密に考えると悩ましいところだろう。
 地域からは、基地に協力して集団移転して、その結果として神社周辺が寂しい場所になり、時々不法投棄も行われている状況を改良してもらいたいという声も上がっている。事業が前向きに進むよう関係者には一層頑張って貰いたい話なのである。
 
 郷土の銘木の写真から地元の熊野神社のイチョウの木を思い出し、そのような事を考えていた。