土地開発公社の物件について思う
2009/03/16記
 先日まで行なわれていた予算審査委員会で多くの議論が行われたが、その中で考えさせられたのが市が土地開発公社から買い戻した土地の売却である。
 
 予算書には資産の増減という項目がないので収入を得るためにどの様な財産を売却しようとしているのか与えられた資料からは読み取れないのである。そのため、先月24日の補正予算では本会議で質問し、今回の新年度予算では予算審査委員会の一員として質問を行い情報を求めた。
 補正予算の中には土地開発公社が約1743万円で購入した土地を、木更津市が約2021万円で買い戻し、それを213万円で売却する案件が入っていた。約1808万円の差損が生じていた。
 次年度予算では土地開発公社が約5億46百万円で購入した土地を、木更津市が約8億43百万円で買い戻し、それを34百万円で売却する予定である。差損は補正予算を遙かに上回る約8億9百万円にも及んでいる。
 
 さらに今回の当初予算では残金約5億5千万円に対して約2億5千万円の不足で買い戻しが出来なかった旧ミナミボール跡地の1,698.95uに至っては、土地開発公社が約16億5千万円で購入した土地を、木更津市が平成18年度に3億78百万円、平成19年度に4億78百万円、平成20年度には補正も行っているので10億13百万円、平成21年度の当初予算に3億円の購入を進め、残金を加えると約24億円で買い戻しを行うことになるのだが、不動産鑑定を行うと8千万円程度でしか売却出来ないと聞くと、目が眩みそうである。売却しても残金の1/3にもならないのである。
 
 これ以外に東中央2丁目等にまだ土地開発公社が所有する土地があり、買い戻しを進めないと公社の金利が増加して翌年度以降の負担が増える構造である。
 水越市長が就任した平成14年当時には146億円以上有った土地開発公社の土地を毎年多くの予算を割いて買い戻しを進め、平成20年度末には61億円を切る程度まで圧縮する事が出来ていることは今月5日に三上議員の質問に対する回答で明かとなったが、それだけの予算が有れば学校の耐震や市役所の診断なども出来ていたろうと思うと、可能なら昔の市役所に今後は土地が下落し続けるだけだと情報を伝えたい。
 現在でも負債が60億有れば、金利2.5%とすると毎年1億5千万ほど借金が増えるので、民間企業のように倒産する方法を選べない市役所としては苦しい財政の中から買い戻しを進める必要があるのだ。しかし、県の企業庁は借金棒引きを協議したように思うがせめて金利だけでも免除するような交渉は出来ないものかと思う。
 
 ミナミボールの土地について、予算委員会の中で三上議員より駅前の大規模な土地を安易に評価額で売却しないようにという意見があった。行政が所有していれば管理費が発生し税金を取れないという事も有るが、当該場所については地域の商店街の駐車場として使用されており、市にとっても年間3百万円の収入があるなら売却見込みの8千万円を4%程度で運用しているのと一緒であり、確かに急いで売る必要はない。
 あまりに売却単価が安い場合は、商店街の活性のために適切な価格で貸し付けるという選択はあるだろうし、三上議員が提案したように東口駅前広場の狭隘を解決するため、旧西友跡地駐車場と交換して駅前広場として整備するという手法も有るだろう。
 
 膨大な借金、毎年の財政負担など、考えれば厳しい面も有るが、せっかく残された土地という財産を行政のためにどう活用するかという視点も忘れないように、この物件については考えていこうと思うのであった。