選挙事務の合理化を考える |
2009/04/07記 |
知事選及び県議補欠選挙が終了して2週間以上が経過した。この知事選に係る費用は、3月議会で補正された金額では約3399万円、県議補選には1450万円が投じられている。
この予算は県支出金で補填されるため、今回は市の持ち出しはないが、来年3月に予定されている市長選及び市議補欠選挙は全て市の支出になるので、やはり5千万円近いコストが掛かることになるのであろう。
下表が今回の知事選における各投票区での有権者数及び得票率である(市のHPでも公表されている)。県議補選は知事選に比べ告示が遅い分だけ不在者投票が少なく、投票者数の合計で221名ほど少ないが、傾向は同じと考えて問題ない。 |
投票区 |
投票所名 |
有権者数 |
投票者数 |
投票率(%) |
1 |
波岡中学校体育館 |
4,279 |
2,339 |
54.66 |
2 |
畑沢公民館 |
4,694 |
2,446 |
52.11 |
3 |
桜井公民館 |
2,962 |
1,341 |
45.27 |
4 |
第二小学校体育館 |
5,000 |
2,383 |
47.66 |
5 |
社会館保育園 |
1,088 |
567 |
52.11 |
6 |
中央公民館 |
1,611 |
799 |
49.60 |
7 |
吾妻保育園 |
3,259 |
1,572 |
48.24 |
8 |
木更津東高等学校講堂 |
3,745 |
1,803 |
48.14 |
9 |
西清小学校体育館 |
2,786 |
1,226 |
44.01 |
10 |
清見台小学校体育館 |
3,652 |
1,692 |
46.33 |
11 |
第三中学校体育館 |
2,369 |
1,066 |
45.00 |
12 |
祇園弥生町集会所 |
3,096 |
1,496 |
48.32 |
13 |
南清小学校体育館 |
2,933 |
1,308 |
44.60 |
14 |
東清公民館 |
1,771 |
992 |
56.01 |
15 |
岩根西公民館 |
3,030 |
1,386 |
45.74 |
16 |
岩根小学校体育館 |
3,592 |
1,727 |
48.08 |
17 |
岩根西中学校体育館 |
2,076 |
1,002 |
48.27 |
18 |
岩根中学校体育館 |
4,815 |
2,350 |
48.81 |
19 |
矢那中郷公会堂 |
1,080 |
522 |
48.33 |
20 |
鎌足公民館 |
496 |
292 |
58.87 |
21 |
矢那高倉集会所 |
410 |
260 |
63.41 |
22 |
金田公民館畔戸分館 |
467 |
230 |
49.25 |
23 |
高須集会所 |
850 |
403 |
47.41 |
24 |
金田公民館 |
1,644 |
775 |
47.14 |
25 |
牛込区集会所 |
870 |
401 |
46.09 |
26 |
中郷公民館 |
2,211 |
1,109 |
50.16 |
27 |
中郷中学校音楽室 |
607 |
360 |
59.31 |
28 |
富来田公民館 |
2,860 |
1,767 |
61.78 |
29 |
馬来田小学校体育館 |
1,242 |
737 |
59.34 |
30 |
地蔵堂公会堂 |
294 |
180 |
61.22 |
31 |
茅野七曲集会所 |
151 |
102 |
67.55 |
32 |
富岡公民館 |
1,112 |
627 |
56.38 |
33 |
佐野公会堂 |
391 |
249 |
63.68 |
34 |
請西小学校体育館 |
7,611 |
3,240 |
42.57 |
35 |
祇園小学校体育館 |
5,083 |
2,368 |
46.59 |
36 |
八幡台公民館 |
6,177 |
3,116 |
50.45 |
37 |
真舟集会所 |
3,357 |
1,700 |
50.64 |
38 |
清見台公民館 |
2,860 |
1,383 |
48.36 |
39 |
畑沢小学校体育館 |
5,104 |
2,386 |
46.75 |
合 計 |
101,635 |
49,702 |
48.90 |
|
さて、この様に木更津市内には39の投票区が有るが有権者の数においては大きな差がある。有権者数の多い順に整理して、最小である第31投票区に比べた倍率を示すと下表のようになる。実に50倍を越える値である。 |
有権者順 |
投票区 |
投票所名 |
有権者数 |
倍率 |
1 |
34 |
請西小学校体育館 |
7,611 |
50.40 |
2 |
36 |
八幡台公民館 |
6,177 |
40.91 |
3 |
39 |
畑沢小学校体育館 |
5,104 |
33.80 |
4 |
35 |
祇園小学校体育館 |
5,083 |
33.66 |
5 |
4 |
第二小学校体育館 |
5,000 |
33.11 |
6 |
18 |
岩根中学校体育館 |
4,815 |
31.89 |
7 |
2 |
畑沢公民館 |
4,694 |
31.09 |
8 |
1 |
波岡中学校体育館 |
4,279 |
28.34 |
9 |
8 |
木更津東高等学校講堂 |
3,745 |
24.80 |
10 |
10 |
清見台小学校体育館 |
3,652 |
24.19 |
11 |
16 |
岩根小学校体育館 |
3,592 |
23.79 |
12 |
37 |
真舟集会所 |
3,357 |
22.23 |
13 |
7 |
吾妻保育園 |
3,259 |
21.58 |
14 |
12 |
祇園弥生町集会所 |
3,096 |
20.50 |
15 |
15 |
岩根西公民館 |
3,030 |
20.07 |
16 |
3 |
桜井公民館 |
2,962 |
19.62 |
17 |
13 |
南清小学校体育館 |
2,933 |
19.42 |
18 |
28 |
富来田公民館 |
2,860 |
18.94 |
19 |
38 |
清見台公民館 |
2,860 |
18.94 |
20 |
9 |
西清小学校体育館 |
2,786 |
18.45 |
21 |
11 |
第三中学校体育館 |
2,369 |
15.69 |
22 |
26 |
中郷公民館 |
2,211 |
14.64 |
23 |
17 |
岩根西中学校体育館 |
2,076 |
13.75 |
24 |
14 |
東清公民館 |
1,771 |
11.73 |
25 |
24 |
金田公民館 |
1,644 |
10.89 |
26 |
6 |
中央公民館 |
1,611 |
10.67 |
27 |
29 |
馬来田小学校体育館 |
1,242 |
8.23 |
28 |
32 |
富岡公民館 |
1,112 |
7.36 |
29 |
5 |
社会館保育園 |
1,088 |
7.21 |
30 |
19 |
矢那中郷公会堂 |
1,080 |
7.15 |
31 |
25 |
牛込区集会所 |
870 |
5.76 |
32 |
23 |
高須集会所 |
850 |
5.63 |
33 |
27 |
中郷中学校音楽室 |
607 |
4.02 |
34 |
20 |
鎌足公民館 |
496 |
3.28 |
35 |
22 |
金田公民館畔戸分館 |
467 |
3.09 |
36 |
21 |
矢那高倉集会所 |
410 |
2.72 |
37 |
33 |
佐野公会堂 |
391 |
2.59 |
38 |
30 |
地蔵堂公会堂 |
294 |
1.95 |
39 |
31 |
茅野七曲集会所 |
151 |
1.00 |
|
最大の第34投票区では投票時間の12時間で平準化しても時間634人の受付を行うことになる。実に6秒に1人以上のペースである。実際には投票率で低下する代わりにピーク時間の集中があるので忙しいときには長い列が出来ていたものと思う。その列に並ぶのが嫌で投票に行かなかったとしたら、設営した側に改善の余地があるものと思う。具体的な解決方法は投票区の分割か隣接する投票区との境界を変更することで負担を減らすことである。
同様に羽鳥野の人口が増えつつある第36投票区も例えば館山道まで第1投票区との境界線を移すなどの見直しを考える時期が近いことを感じさせる。
一方、逆に有権者数が少ない投票所でも受付や立会の事務事業は有権者が多いところと同程度必要であろうから、投票人1人当たりのコストは高く付いているものと思う。これらを統合できたら事務の合理化は進むことであろう。
さらに、投票区を設けることにより公職選挙法第144条の2の1項で『(前略)選挙管理委員会は(中略)ポスター(中略)の掲示場を設けなければならない。』及び2項で『掲示場の総数は、1投票区につき5箇所以上10箇所以内において、政令で定めるところにより算定する。』と規定されている。従って投票区を減らす事は投票所の事務と掲示板の数を減らすことになるのである。
しかし、有権者人口の少ない投票区は人口密度の少ない地域が多く、統合することで投票所まで歩いて片道1時間以上も必要になる所が出てきてしまう。殆どの有権者が投票所まで車で来ている実状があるにしろ、交通弱者から投票の権利を奪うような行為は問題視されることに成るだろう。例えば送迎サービス等の対策が必要になるのかも知れない。
ただ、小学生はその投票区の境界を越えた長い距離を通学していることを考えると、少なくとも小学区単位では統合を検討することは無理がないのではと個人的には考えるところである。
一方旧市街では都市の空洞化により、投票区の面積が狭い上に有権者が少ない場所がある。平面的な区分とその有権者数は次のように成っている。 |
|
投票区 |
投票所名 |
有権者数 |
倍率 |
1 |
34 |
請西小学校体育館 |
7,611 |
50.40 |
4 |
35 |
祇園小学校体育館 |
5,083 |
33.66 |
5 |
4 |
第二小学校体育館 |
5,000 |
33.11 |
9 |
8 |
木更津東高等学校講堂 |
3,745 |
24.80 |
10 |
10 |
清見台小学校体育館 |
3,652 |
24.19 |
12 |
37 |
真舟集会所 |
3,357 |
22.23 |
13 |
7 |
吾妻保育園 |
3,259 |
21.58 |
14 |
12 |
祇園弥生町集会所 |
3,096 |
20.50 |
19 |
38 |
清見台公民館 |
2,860 |
18.94 |
20 |
9 |
西清小学校体育館 |
2,786 |
18.45 |
21 |
11 |
第三中学校体育館 |
2,369 |
15.69 |
26 |
6 |
中央公民館 |
1,611 |
10.67 |
29 |
5 |
社会館保育園 |
1,088 |
7.21 |
|
上図を見ても第34投票区は面積も大きい事が解り、矢那川以北を第10及び第38投票区に統合するとか分区を検討する等の対策を講じることが望ましいことが解り、一方で第5及び第6投票区は統合しても第9投票区を下回る有権者しかいないことが解る。
それぞれの地域には歴史があり、有権者も投票場所が変更になることに違和感を感じることであろうが、限られた予算を有効に使用する事を考えると、選挙事務についても一層の合理化を検討するべきではないか、と今回の選挙を通じて思った。
特にこの様な議論は選挙で選ばれた立場である議員にとっては、誰にとって有利だとか不利だとかという具体論になる可能性もあり、自らの選挙が近づくとタブー扱いされやすいことなので、次回の市議選まで2年を残した今頃記載するわけである。 |