街の特色を考える
2009/04/21記
 満開の情報に誘われて16日に三春滝桜を見に行った。自分もそうだが、日本人は本当に桜が好きなようで平日にも係わらず多くの人が訪れ、車は渋滞し、地域の方々も野菜や漬け物などを販売して賑わっていた。
 三春滝桜は山梨県の「山高神代桜」及び岐阜県の「根尾谷淡墨桜」と伴に日本最初の天然記念物に指定された3本のうちの1本であり、これらをまとめて日本三大桜と呼ぶ。
 他に日本を代表する三箇所としては日本三景の松島・宮島・天橋立、三名瀑と言われる華厳の滝・那智の滝・袋田の滝、三名園と言われる水戸偕楽園・金沢兼六園・岡山後楽園、三大夜景と言われる函館山・神戸摩耶山・長崎稲佐山などが観光的に有名である。不名誉な三大として札幌時計台・高知はりまや橋・那覇守礼の門(異説有り)が期待を裏切る場所として上げられるようだ。
 
 NHKスペシャルで放送された沸騰都市シリーズの中で、ドバイの開発会社の社長が『何でも世界で1番の物を作るべきだ。人々は1番は覚えているが2番目以降は忘れてしまう』という趣旨の発言をしていた。確かに今年の1月に行ったドバイは強烈な個性を発揮しているように私には感じられた。
 ただドバイの場合は世界で1番の物(高層ビルやショッピングセンターや室内スキー場)を作るために巨額のオイルマネーによる投資を受けている。刺激には成るが参考には成らない事例である。
 重要なのは都市の特徴を明確にするためには何らかの特色があった方がイメージしやすく、そのイメージがプラスに働いた場合は都市間競争において有利に働く可能性が高いことである。
 
 さて、ここで木更津市を考えると、他都市から羨まれる位に個性が溢れているが、それが有効に活かされていない事に問題があるのではないかと考える。
 例えばアクアラインである。巨大な道路橋で対岸と結ばれている都市は本四架橋でも多くあるが、対岸との都市格差を上手く活かしているのが明石海峡で神戸市と連結する淡路市であり、そこにある淡路夢舞台国際会議場ではかずさアークを遙かに上回る国際会議を開催している。
 他にも歌舞伎「与話情浮名横櫛」や春日八郎の歌で有名なお富さん、及び木更津甚句などのように江戸時代に栄えた港町としての歴史財産もある。そのような歴史財産を関東近郊で上手く復活させたのは小江戸を名乗る川越である。喜多院を始めとした古い寺社や街並みが残る。著名度で有れば童謡で有名な本市の證誠寺に追いつかないはずであるが、街を挙げてのレトロイメージ造りで休日にも成ると街中は木更津市より賑わっているようだ。
 また木更津キャッツアイで一躍有名ロケ地になり、その後も多くの映画が市内各所で撮影されている。それでも大林映画の尾道のように息が長くイメージが持続できるか心許ない。
 
 他にも地価下落率連続日本一を続けた結果、首都圏近郊では破格の安さで購入できる土地も現在の本市の特色である。底値感が出てこないのが原因かもしれないが、この価格なら供給を上回る需要が発生しても変ではないと思うのだが、現実には区画整理組合は苦境の直中にある。
 豊富で種類が多い農産品も特色が際だっているわけではない。梨やブル−ベリーが沢山取れている事を知る人は少ない。まだまだ山形のサクランボや青森のリンゴのようには成りそうもない。
 食の範疇では宇都宮の餃子や富士吉田のうどんのような存在に穴子丼やアサリ飯は到達しているか自信がない。
 
 決して1番である必要はないと思うが記憶に残る街を作るべきであると思うし、そのためには特色を際だたせることが重要ではないかと考えている。宇都宮の餃子のように僅か数年で著名になる物も有れば樹齢千年以上の三春滝桜のように長い年月が必要な物もある。着目点と売り出し方を考えれば、木更津の著名度はまだまだ向上できるだろうと考えている。