入札参加条件を考える
2009/05/17記
 公平な入札を保証するために、金額の大きい業務では指名競争入札ではなく一般競争入札とする流れが進んでいる。その事は、例えば激しい選挙が行われた結果、反市長側に付いた業者が全く指名されなくなったというような行政側の恣意的な排除を防止すると言うことでは歓迎するところである。
 若干問題があるとすると、明らかにダンピング受注して丸投げするような業者の排除が難しいことである。契約の結果、そのような実体があった場合は業務を停止するという強硬措置を執れば済む話ではあるが、多くの役人はそのような面倒に巻き込まれることを嫌がり、恐慌的な手段に出ることは少ないため問題のある業者が排除されずに残る事になる。
 
 一方、一般競争入札としながらも発注側で入札に参加するために必要な資格を厳しくすることで、実際上は公正な競争が行われないケースが多く残っている。特に国の発注で目に付く。
 例えば、近年報道を賑わせていた国土交通省の運転管理業務である。これは解りやすく言えば国交省の現場事務所等に常駐する公用車の運転手の人件費である。実は私が居た頃の日本道路公団も道路管理事務所では所長車だけが運転手を委託していたが、建設工事事務所では全面的に運転管理業務を委託していた。工事現場に自ら公用車を運転して行くことは委託業務の必要性が低下するから極力避けて貰いたいという事を言われて疑問に思った物である。これが建設省(当時)のOBが天下りしている会社であることは皆知っており、契約も随意契約で継続されていた。
 しかし、随意契約は極力廃止し一般競争にすべきという通達を受けて一般競争入札となったのであるが、入札参加条件が過去に類似業務を行っている業者に限らせたため、実体は随意契約と同じになっていた。この事は国会で取り上げられたので入札条件が緩和され落札金額がほぼ半額に低下したという。
 
 さて、そのように天下り先を潤すという目的が無くとも、入札条件を必要以上に厳しくすることで、地元業者の参加が阻害されたり、充分な競争が行えなかったりする例も発生している。
 具体的な名称を記載すると差し障りがあると有ると思うので抽象的な表現に留めるが、例えばAという実績が有れば業務の遂行には充分ではないかと思われるのに、A+αという実績を求めたり、Bという条件の元でAの実績が有ることを求めるように、そこまで求める意味が分からないようなハードルを設ける例が少数ではあるが見られるのである。
 発注者にとっては、条件説明や打合せを若干省略できるメリットが有ることは解るが、説明をすれば済むことを省くために入札条件を厳しくする事で入札機会が減ることや落札価格が低下しない結果を招く可能性に対する問題意識の少なさには反省を促したい。
 
 個別具体的な話は既に済ませているので、今回はメモを残す様なつもりで記載しておく次第である。