緊急雇用対策を考える
2009/06/19記
 6月定例議会に緊急雇用創出事業として商店街位置及び街路灯調査事業費253万5千円が上程された。これは平成20年度末に行われた政府の補正予算の中に失業者の雇用創出が盛り込まれた物を本市で事業化したものであり、全額が県の支出金の事業である。事業の条件としては@建設業以外の事業で、A期間は6ヶ月以内であり、B人件費の割合が7割を越え、C3/4以上の人数が新たに雇用された失業者であること、等である。ちなみにこの事業が発注された場合は3人の雇用が生まれる見込みである。
 本年2月2日に千葉県で説明会が開かれ、2月9日までに回答するという慌ただしい日程で有るとは言え、充分に庁舎内で検討されたのかと16日の経済環境常任委員会で議論があった。県のHPにも記載されているが、緊急雇用対策事業は、ふるさと雇用再生特別基金事業(地域の実情や創意工夫に基づき、失業者等を雇い入れて地域における継続的な雇用機会を創出する事業)と緊急雇用創出事業(離職を余儀なくされた失業者に対して次の雇用までのつなぎの雇用機会を創出する事業)の2項目からなり、総事業費は約18億円である。総事業費に対する本市の事業費の割合は僅か0.14%に過ぎないのだ。表にすると下記の通りである。  
区分 件数 総事業費
(千円)
雇用創出
(人)
ふるさと雇用再生
特別基金事業
2 49,576 10
他市町村 45 317,890 116
木更津市 0 0 0
47 367,466 126
緊急雇用創出事業 24 283,128 317
他市町村 165 1,143,620 991
木更津市 1 2,535 3
189 1,429,283 1,311
合計 26 332,704 327
市町村 210 1,464,045 1,110
236 1,796,749 1,437
 
 ちなみに委員会で配布された他市の事例を雇用数で整理すると下表に示すようになる。なお、成田市・袖ヶ浦市・印西市・富里市・酒々井町・印旛村・本埜村・神崎町・多古町・芝山町の4市4町2村における事業は配付資料に記載されていなかったので一覧には無い。袖ヶ浦以外は成田周辺の自治体であり緊急雇用創出が必要ないのかどうかは定かではない。  
ふるさと 緊急創出 合計人数 直接雇用
千葉市 12 137 149
銚子市 9 21 30 3
市川市 6 6
船橋市 50 50 4
館山市 7 16 23 10
木更津市 3 3
松戸市 3 63 66 27
野田市 8 34 42
茂原市 16 16
佐倉市 3 53 56
東金市 32 32
旭市 9 9
習志野市 35 35
柏市 3 38 41
勝浦市 2 2
市原市 10 55 65
流山市 5 50 55 5
八千代市 39 39 16
我孫子市 2 22 24
鴨川市 8 19 27 10
鎌ヶ谷市 18 18
君津市 13 13
富津市 32 32 3
浦安市 1 22 23
四街道市 3 9 12
八街市 4 4
白井市 4 20 24
南房総市 4 23 27 6
匝瑳市 1 8 9
香取市 30 30
山武市 9 11 20
いすみ市 2 12 14
栄町 3 5 8
東庄町 2 2 2
大網白里町 15 15
九十九里町 2 5 7
横芝光町 4 4
一宮町 6 4 10
睦沢町 10 10
長生村 5 11 16 4
白子町 12 12
長柄町 6 6
長南町 3 3
大多喜町 9 9 5
御宿町 1 4 5
鋸南町 2 2
合計 115 990 1,105 95
 銚子市・船橋市・館山市・松戸市・流山市・八千代市・鴨川市・富津市・南房総市・東庄町・長生村・大多喜町の9市2町1村で95人が6ヶ月以下の短期とはいえ直接雇用されていることに驚かされる。
 
 市原市の場合65人の雇用を創出するため15事業を12課で実施している。本市の場合は商工観光課だけが取り組んでいるので規模が小さくなってしまうのである。
 前にも書いたように、全額が県の支出金であるので、市内で予算と人手が不足しているため解決できない事を雇用対策という名目で県の金で解決するという自治体が多く、経営的な視点で見ればその判断は正しい。各自治体の事業内容を県のHPで見ると様々な事を計画しているが、例えば銚子市のように観光施設の除草や落書き落としのように本市としても見習うべき事も多い。予算要求手続きが煩雑なのかは解らないが、折角の事業を見落とすことに問題を感じる話である。