「地元業者」を考える
2009/07/18記
 今日(18日)、潮見5丁目にスーパーせんどうが開店した。人口増加の著しい木更津市南部地区においては、羽鳥野のODOYAに次ぐ大型店の開店であり、年内には請西南にロックタウンも開店する予定である。ODOYAは館山市が本社で、せんどうは市原市が本社であるスーパーマーケットであり、木更津に本店を置く尾張屋やスーパー富分、スーパー吉田屋等と激しい戦いが行われることが予想される。消費者にとっては選択の余地が増えること、価格やサービスの競争がされることは好ましい事態であろうが、その争いに巻き込まれる中小の商店は益々客足が減ってくることであろう。
 
 行政は地元優先という方針を多くの項目で打ち出している。それは今まで納税によって財政を支え、雇用により地域の労働環境を支え、人や資金や土地を地域の行事のために提供する事などで地域の文化や賑わいを支えてきたという経緯を考えると、地元の企業を優先させることに異論はない。
 ただ、本社が木更津に無いとしても、店舗を営み始めれば形式的には地元の業者になるのである。さらに諸行事への協力や各種団体への参加を行い始めれば立派な地元企業である。後から来たものを排除するようでは都市の発展はないであろう。
 
 それでも、公共事業として発注する対象が、全国展開している業者の木更津支店で良いのかという疑問が若干残る。建設会社などではアスファルト舗装用合材プラントを所有しているのは、殆どが大手であるから参入には違和感はないし、仮に本店があるものとすると、現在の支店をそれぞれ独立した法人として本社として、現在の本社が持ち株会社化するだけであろうから、あまり効果はないと思うので、仕方ないと考えるが、今回の補正予算による物品購入では、どうかと思うことが出来てきた。
 具体的には今回の地域活性事業のメニューの一つとして、地デジ対応型のテレビを、小学校では42インチテレビを270台、中学校では50インチテレビを50台購入というものである。予算は約1億3千万円が計上されており、1台あたりの価格を計算すると42インチテレビが39.8万円、50インチテレビが45.8万円である。これを市内の家電販売の店で競争させた場合、大手量販店のヤマダ、コジマ、K’sあたりで激しい競争がされて、価格競争力の弱い街の家電家さんには参入の機会が無くなると予想される。
 しかしメーカーが製造したテレビを設置するだけなら技術競争の余地は少なく、ダンピングによっても手抜きの心配が少ないのであれば、より安く購入することが税金の効率的な運用に繋がることも事実である。大手量販店の木更津店は地元業者ではないとする論理も難しそうだ。また、旧来の地元業者だけに絞って、その1社だけが市場価格より高い価格で納品した場合は明かな不公平であり、厳しい見方をすれば詐欺行為に近くなってしまう。
 
 公正であること、地域の経済を活性化すること、疲弊している人達を救うこと。一見似た目的を処理するようでも、行為のやり方によっては大きな違いが出来てしまう。どこで一線を引くか、その妥当性を色々考えてみるが、なかなか結論が出せないで居る。