参議院選挙を思う
2009/08/21記
 前日の朝日新聞で、今回の選挙では民主党が300議席を窺う状況で、自民党は惨敗する予想が伝えられたと思ったら、本日の朝刊では解説として町村元外相等の選挙区でも民主党が優位であり、木更津を含む千葉12区では民主党の中後候補者が浜田防衛大臣と互角に競っているという個別情報まで記載されていた。
 自民党陣営に走った衝撃が大きい中で、つくづく小選挙区の怖さというものを味わていた。
 そんな訳で、時節柄『思うこと』も3連続で国政の問題を記載することにする。
 
 前回の郵政選挙の時もそうだったが、今回も有権者の雪崩現象が発生している。これは何も日本だけに見られる現象ではなく、欧米でも与党が壊滅するような状況を見せている。
 郵政選挙では与党が2/3を占めてしまったために参議院との捻れを再議決という手段を用いて法案を通してきた。今回の勢いでは民主党を中心にした連立政権が2/3を占めてしまいそうである。
 
 参議院では民主党・社会党・国民新党の3党で過半数を制しているので、衆議院でも過半数を越えれば捻れも無くなる。だから2/3という数には一見意味が無さそうだ。
 
 しかし、私が危惧するのは来年7月に行われる参議院選挙の改選である。これは2004年に選ばれた議員の改選であり、その時と2007年の選挙結果は下表の通りであった。
政党 2004 2007 合 計
当選者 区分別 与野党 当選者 区分別 与野党
自民党 49 60 60 37 46 46 106
公明党 11 9
無所属 5 9 61 7 10 75 136
共産党 4 3
社民党 2 52 2 65
国民新党 2
新党日本 1
民主党 50 60
合 計 121 121 242
 選挙の後で自民党から別れた改革クラブが成立したことや無所属の議員が入党したり他の党と連立会派を組んでいる事などから単純に今回の選挙後にどのような形で民主党を中心にまとまるかは定かではないが、巷間言われているように社会党・国民新党・新党日本との連立会派を組むと想定すると2007年に当選した非改選議員は最低で65名である。
 現在は自公の連立に対する位置付けで求めるため与党が106名に対し野党が136名とねじれているのであるが、民主党側が与党となった場合に、共産党や無所属議員が再度野党側に回ると想定すると、2010年の選挙で56名(=121-65)以上を当選させなければ過半数を維持することが出来ない。これは前回の始めて民主党が比較第一党になった時の当選者数を上回る人数である。
 
 今回の衆議院選挙で民主党に政権が移り、与党に成って1年も経過した頃に行われる2010年の参議院選挙は、マニフェストの達成率が上がらない場合には与党民主党へ逆風が吹くと想定できるため、前回を上回る当選者を出すことは難しいと考えられる。従って、1年後には双方入れ替わった状況の捻れ国会が行われると想像されるのである。
 今回の選挙で、朝日新聞の調査のように大勝した場合は、自民党を中心とする野党が過半数を占める参議院で否決した案件を、民主党を中心とする与党が2/3の力を持って再議決する姿をまた見るのかも知れない。
 これは直近の民意を反映していないという事で問題になるから、国民は一方の政党を大きく勝たせては行けないと、郵政選挙のお祭りの後に学んで、雪崩は起きないことを期待したい。
 
 民主党が大勝ちできなくても政権を執った場合は、来年の参議院が敗戦した場合に国会運営が出来なくなるので、衆議院の解散も余儀なくされることから、政治状況によっては今から10ヶ月後に衆議院も解散して同時選挙を行い、国民の真意を問うことが必要になるだろう。
 それが最も混乱を避けることにつながるとはいえ、わずか1年以内に総選挙という話は慌ただしく、なんと無駄な日々であろうか。
 
 英国の宰相であったウィンストン・チャーチルは英国人らしい皮肉を込めて『これまでに試みられた民主主義以外のあらゆる政治形態を除けば、民主主義は最悪の政治形態と言うことが出来る。』
と言っているように、決して理想的な政治形態ではないが、今の所これ以上に望ましい方法が見いだせていない。
 このため、選挙制度などの小手先で問題解決を考えているが、本当に何とかしないと安定した政府が出来ない。その事による日本国の外向的・経済的損失は計り知れないだろうと思うと、来年の夏もまた、国政問題で思うことを書いていそうだ。