選挙結果と民意を思う | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2009/09/08記 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
政権交代を争点に行われた選挙から1週間以上が経ち、民主党を中心とした内閣の骨格が少しずつ見えてきた。地方自治や外交を混乱させることなく、長年の官僚制度で貯まった埃を落とし、効率的で力強い政府を成立してくれることを願うばかりである。 選挙後に株価は改革を期待して上昇したのであるから、その期待を裏切ることなく、景気は上向き失業率は下がり税収は増え世相は明るくなって貰いたい。少なくとも政治が経済の足を引っ張るような事がないように、期待する所である。 木更津市という地方自治で考えると、まだ施工されていない公共投資臨時交付金を利用して学校の耐震工事など多くのメニューを進める準備をしているので、事業の見直しも必要だと思うが、本年度の計画が混乱することの無いように進めて貰いたいものだ。 さて、参議院で過半数を取っていない民主党は社民党や国民新党という、議席数では遙かに少ない政党との政策協議に苦労を重ねそうである。せめて振り回される事がないようにと願う。 それにしても、小選挙区制という政権交代を生む劇薬を見せつけられた選挙であるが、国民の民意を反映するという意味では比例代表の方が正確である。小選挙区では過半数を得ていない者は議席を得ることが出来ないが、大選挙区では一定数の支持が有る政党は議席を得ることが出来るからである。 選挙区は大きい方が少数者の意見を反映する事が出来るのだが、現在の選挙制度では全国を11のブロックに分けている。仮に全国を一つの選挙区にした場合ではどの様な結果になったのか気になったので試算してみた。 |
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上記の12政党の内、「民主党」「自由民主党」「公明党」「日本共産党」「社会民主党」及び「幸福実現党」の6党が11の比例選挙ブロックの全てに候補者を擁立していた。 中規模な政党では「みんなの党」が北海道・北陸信越・中国・四国で、「国民新党」が北海道・東北・四国で、「新党日本」が北海道・東北・中国・四国・九州で、それぞれ候補者擁立しなかった。 地域政党では「新党大地」「新党本質」が北海道だけで、「改革クラブ」が近畿だけで候補者を擁立していた。 これらの中規模政党や地域政党が立候補していない地域でも、一定の得票を得る可能性があるため上記の表における得票数は民意を正しく示している訳ではないという前提条件がある。 全国で候補を立てる強みは「幸福実現党」の場合で顕著な状況で、この政党は全国で隈無く擁立したので薄く広く集め、議席を得た「新党大地」より得票総数は多かったのだ。従って、仮に全国が定数180一つの大選挙区になった場合には1議席を得た計算になった事には驚かされた。 試算値より、民主・自民両党はこの制度で議席を増やしており、共産・社民・みんなの党等は議席を減らしていることが解った。国民新党などは本来3議席を確保できるはずで、綿貫代表も引退しなくて済んだはずだと思うと、大政党が有利と思うが、中には新党大地の様に地域で成功している例も有るから単純には語れない。 民主党のマニフェストでは比例代表の定数を80減として100にすると言っている。その定数で全国一律の計算を行うと下表のようになった。 |
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ドント方式なので小政党に若干厳しい結果となり、得票率で1%を下回る政党は議席を得ることが出来なくなる。全国一律でこの結果だから11ブロックではさらに大政党有利の状況になるので、少数者の意見は届きにくくなるのである。今回連立協議を進めている社会民主党や国民新党がこの案に同意する事は難しいだろう。 来年の7月には参議院議員選挙が有る。議席配分の計算方法に問題があるので1票の格差が解決できずにいるが、参議院には複数県を単一選挙区とする中選挙区を積極的に採用し、衆議院と議員構成を変えて、参議院は少数者の意見を大切にする所だと明確にするべきだろう。今回のような政権交代のタイミングを逃すと大幅改革は難しいと思うので、このチャンスは生かして貰いたい。 今回の選挙に伴い連続して「思うこと」に関連記事を載せてきたが、投票結果を締めくくる考えとして、記載しておく。 |