二酸化炭素削減を思う
2009/09/28記
 国際舞台で鳩山総理が温室効果ガスを1990年比で25%削減することを明言したことが欧州を中心に高い評価を受けている。前提条件として米国や中国等の主要排出国が削減の枠組みにはいるとを上げているので、BRICsの賛同が得られなかったから経済効率の不平等を回避するため日本も出来なかった、という言い訳の余地を残しているが、それでも排出量削減に向けた努力が始まることになるだろう。
 
 世界の多くの学者が二酸化炭素が温暖化の原因であると認定しているが、一部の学者は太陽活動の活性化によって温暖化になった結果として海洋中の二酸化炭素が大気に放出されるため相関関係は出るが二酸化炭素の増加は原因ではなく結果である、という意見も述べている。それに関して双方の主張を読んだが判定できるほどの立証能力を持っていない私は、温暖化の防止に二酸化炭素削減が役に立つと確信を持つことが出来ずにいる。
 ただ明確なことは、温室効果ガスの具体的な対象となっている二酸化炭素を削減することは、化石燃料の使用削減につながり、中東の石油や豪州の石炭に依存する脆弱なエネルギー自給体制性からの転換を目指すことにつながる点で高く評価している。
 第二次世界大戦で日本が欧米を相手に戦線を広げたのもエネルギー確保が大きな目的であった。日本の高度成長を止めたオイルショックも中東戦争による石油供給が不安定に成ったことが原因であるし、昨年も投機筋の介入による原材料高騰を受けて景気後退が起きたように、資源小国の日本として、再生可能エネルギーの利用を進めることは温暖化に関係なくとも必要である。
 そこで、木更津で何が出来るのかを幾つか考えてみる。
 
 一昨年の3月議会で風力発電の質問をしたが、自然エネルギーの利用を進めるので有ればデンマークのように洋上発電という選択肢は出てくるだろう。東京湾に唯一残った広大な自然干潟を有する本市では、干潟と東京湾の境界部分に多くの風車が立ち並ぶことが想像される。施工の面では洋上運搬による一括設置で効率的と思われるが、送電や点検の面では問題が有り、さらに干潟の環境変化並びに漁業に与える影響は想像しがたいが、前向きに検討されることだろう。
 太陽光は、アカデミアにソーラーシリコンテクノロジーが起業したように、本市は環境先端産業所在都市である。そうであるなら学校や公共施設の屋上などに太陽光発電を多く設置するべきであるし、自治体としても民家の屋根に設置する場合の補助金上乗せを検討するべきであろう。また、木材港周辺の企業団用地や小櫃川の河川敷で農耕をしていない場所などに大規模発電所の誘致を考えていく事も必要であろう。
 木更津では大規模な水力発電を行える高度差は無いが、マイクロ水力発電の技術を使えば、矢那川や烏田川のような小規模河川や武田堰や小櫃堰のような農業施設でも発電が可能である。ただし、現況ではとても採算に合わないから電気料金から整備費を回すような法整備が必要だ。
 
 発電以外の取組を考えると、夏の冷房で多くの電力が消費されることの対策として、屋上緑化や蔦植物による壁面緑化も必要だし、庭には木を植えるよう推奨して回ることも効果的だ。歩道の舗装は地下水涵養と気化による温度低減を狙って透水舗装に変えていくことも少しであるが効果が出る話だ。
 冬の暖房に対しては、新日鐵君津や東京電力の袖ヶ浦や富津の火力発電所のように大規模な発熱源があり、それを温排水という形で海に流している現状から、廃熱利用の都市形態に変えていくことも研究の対象とされるべきであろう。
 内燃機関用の燃料としては、(株)本田技術研究所基礎技術研究センターかずさ分室が麦藁等を使ったバイオエタノールの研究を年内に開始すると聞いているが、本田技術研究所の手柄は木更津の誇りというつもりで精神的な支援を続けるべきだろう。
 
 その様な多くの取組も、現在の石油を中心としたシステムに対しては高コストになる物が多く、現実的な普及が進んで来なかったことである。新政権は何処まで本気で取り組むつもりなのか、期待と不安が混在する状況の中だが、脱化石燃料が加速することは歓迎したいと思っている。