事業仕訳を考える
2009/12/06記
 政権交代の後、鳩山総理の故人献金問題や普天間移設での閣内不一致、小沢幹事長による強権的運営等の問題が色々生じて国民の支持率が下がり始めた頃、『事業仕分け』が開始され、完全に公開の場で行われたことから長時間の報道がされ、国民の注目が集まって政府の支持率も回復してきた。
 
 事業仕分けについては法的な権限が不明なこととか、対象事業が財務省主導で決められていることとか、事業の枝葉に拘り本質的な項目に踏み込んでいないとか、あまりにパフォーマンスに終始しているとか、民主党に批判的な立場からの多くの意見が聞こえてくるが、個人的には多少の問題があっても今回実施したことに大きな意義を見るし、今後、政権が自民党に戻っても続けることが望ましいと思う内容である。
 
 さて、最近、多くの市民と意見を交換している中で、木更津市でも事業仕分けを行ったらどうかという声を複数から聞く。確かに政策シンクタンク『構想日本』に依頼した実績が現在まで44自治体にあり、その多くは国が始める前に実施している。千葉県内だけでも、2005年に千葉県、2008年に館山市と習志野市で実施している。テレビ報道を見ていた市民にとっては本市にも多くの無駄があるだろうから、あのような形で削ったらどうか、という意見だと認識している。
 
 事業仕分け、という事ではないが、過去に本市の議会でも『予算については3月の承認として上げるのではなく、その編成作業の段階で議論をさせてもらいたい』と要望をしている。それは3月の議会に上程された予算案に異論があったとしても、年度当初の空白を生じさせないために「予算は認めるが執行に当たっては慎重にしてもらいたい」というような意見を述べるに留まる事が多いためである。そのような態度には、多くの議員が歯がゆく思っているのである。
 事業仕分けに近い場としては、決算審査が有るという考え方もできる。議会承認事項の予算は、議決がなければ執行できないが、決算については議会の認定が無くても違法でないという事象から、逆に決算審査の場を持って個々の事業についての評価や仕分けを行い、今後に活かしていくという考え方は正しいと思う。しかし、現に執行してしまったものを評価するよりは、執行前に検討する方が効果的だと思うのである。
 
 基礎自治体は直接住民と向き合う事務を行っているため、個人情報に関する事項も多くあり、全てを公開することは無理としても、特定地域や業界・業者に対する利益誘導が難しくなる事を目的に原則公開にすることが望ましい。会議構成員は議員だけでなく、議会が要請した多くの専門家も交えた場で予算編成を事前審議する事が、効率的・効果的であり、市民にも信頼される予算案になると私は思うのである。
 今回の事業仕分けは、自治体における予算編成作業にも改革を求めている、という視点で認識している人はどれだけいるのだろうか。連日のニュースを見ながら、そのようなことを考えていた。