入間で金田を考える
2010/01/30記
 1月20日に三井不動産株式会社より金田東地区土地区画整理事業地区において三井アウトレットパークの11施設目となる「(仮称)三井アウトレットパーク 木更津金田」の開発に着手することが発表された(イメージ写真は三井不動産の許可を取って使用)。
 
 第1期着工は平成23年夏、第1期開業は平成24年春を予定しているとの事である。本件に付いての詳細は三井不動産のHPを参照していただくとして、現場主義の私は、郊外型の三井アウトレットパークの現状を見るため、29日に快速が停車しない巌根駅から電車に乗り入間に向かった。
 
 西武鉄道の中吊り公告に、この日からバーゲンが始まる事が書かれており、平常時の状況ではないと覚悟した。到着した入間市駅前のバス乗り場には、予想通りの列が出来ていた。
 駅から3.5km程度の距離を無料シャトルではなく路線バスでアクセスし、料金は190円であり、時間は道路が混んでいる事もあって通常10分の道が20分弱を要した。バスはほぼ満員であったがパスモやスイカが使用でき、支払いにおける混雑は少なかった。
 運行頻度は少ない時間帯でも時間4本は有り、路線は西武鉄道池袋線の入間市駅の他、JR青梅線の羽村便も有るが、そちらは休日のみの運行である。なお、施設の最寄り駅は西武鉄道の武蔵藤沢駅であるが、連絡バスは入間市駅より出ている。距離に大きな違いが無いことや既存バス路線が使用できること、名称が解りやすい事が原因であろうと想像する。
 同様の理屈だと木更津駅を起点にすることになるが少し遠いため、市内で最寄りの巌根駅を活用したいものである。
 
 「三井アウトレットパーク入間」は、三井不動産が2008年4月にオープンした、総敷地面積約8.6ヘクタール、店舗面積約3.2ヘクタール、テナント数204店、駐車場台数約3200台という大型のアウトレットモールである。
 
 ちなみに金田に計画せれているものは、総敷地面積約21.5ヘクタールであるから面積は2.5倍の規模である。店舗面積は第一期工事で約2.5ヘクタール、テナント数150店を計画して、第2期工事では店舗面積で約4.0ヘクタール、テナント数250店まで拡大される可能性がある。店舗の規模で言えば、入間は金田の第1期より大きいことが解る。
 元はHOYAの工場であった場所で、敷地が手狭なため駐車場の多くが立体となっていた。敷地に隣接して会員制の大型小売店の「コストコ」が有る事もあって、休日には渋滞が頻発するようだ。この日はバーゲン開始日で多くの来客があっても平日のためか道路への影響は殆ど出ていなかった。
 建物は内側の回廊に店舗が並んでいるが閉ざされた空間で、外に向かって視界が開けている場所は少なく、周辺名物の狭山茶(右写真は1km程度離れた所にある茶畑)や埼玉をイメージさせる物品の販売も無いことから、地域性を意図的に消そうとしているように感じられる。
 ブランド品を買うという非日常を、地場産品で日常に戻してしまってはイメージが整わないのかも知れないが、せめて金田に出来るときにはアクアライン越しに富士山を望む展望で穴子丼を食べられるような食堂が欲しいものだと思うところである。
 
 バーゲンが始まったこともあり、平日の昼間に関わらず大勢のお客で賑わっており、フードコートには座る場所も無かった。圏央道入間ICに近いため、群馬県や山梨県からのアクセスも良い立地状況であるから広範囲に集客しているのだろう。
 金田の場合は千葉県だけでなく東京や神奈川、さらには羽田の国際化によるトランジット客も対象とすることが出来るという有利さを持ち合わせる。だから客層も国際的化すると想像される。
 
 アウトレットという形態の中には長柄町に出来たものの様に閉鎖されたものもあるが、三井・三菱の力で全世界から有名ブランドを集めたモールでは多くの集客が期待でき、不況下の日本でも成功を収めていることは実感できた。
 築地に計画されているイオンもアウトレットを併設して集客を狙っており、今回の金田と競合する関係となってしまったのである。従って、仮に築地にアウトレットが出来ないとイオンの出店に影響が出て、みなと再生構想が進まない可能性がある事を危惧して商工会議所が三井不動産に業態変更を求める反対意見書を出したと報道があった。
 それに対し、金田事業の推進を望む金田住民からは反対することに反対する意見書も出された。何故建設を推進する意見書でなかったのかは解らないが、私も金田にはアウトレットの形態で進出することに異論はないし、地域発展のために協力したい。
 
 個人的にはアウトレットは現在の成功型である事は認めるが、乱立気味の中で長期に渡って成功が持続できるか疑問がある。築地のイオンの場合はアクアラインを利用して商圏人口を3千万人近くまで増やすと考えると、1万人に一人しか興味を示さないが、その一人は足繁く通うような、レアな品揃えを大々的に行って個性化を図るとか、欧米風のアウトレットの対局として成長著しいアジア商品の大規模集約など、日本に木更津だけしか無いようなツールを抱えて出店してきて貰いたいと願うばかりである。