鉄道の復権を考える
2010/02/03記
 昨日の夕方に「巌根駅に快速電車を停めよう!推進協議会」の役員会を開催し、今後の取組を話し合った。署名提出で活動が終わったわけではないことを確認するためにも幟旗の掲示や新規看板の設置、秋のダイヤ改正前には途中経過の報告会や要望書の再提出などを行うことを決めた。
 
 雑談の中で乗降客が減っている現状について意見が出された。
 昔は路線バスが大勢の乗客を乗せて巌根に着いていたのに、今では空気を運んでいるような状況で、昔は家族も忙しく車もなく子どもの送迎など出来なっかたものが今では木更津ぐらいなら送ってしまうからだ、という話であった。
 確かに乗客の中で大きな数になる通学需要は確実に減っていると私も思う。私が高校生だった昭和50年代は巌根駅から木更津駅までの満員列車が嫌いで、3ヶ月の定期が切れたら君津高校まで直接自転車で通うようになってしまったが、今ではそこまで混んでいないようだ。原因は親の送迎以外にも子どもの総数が減少したことや市原に高校が増えて木更津まで通う生徒が減ったこと等も有るだろう。
 さらに通勤需要の減少原因を考えると、往復に車を使う人が増えたことや、遠方まで通勤していた人が都心回帰で移転してしまったことも有るが、少なくない効果は先日要望書を提出した際にJRの室長さんが言っていたように高速道路の発達でバスや社用車にシフトしてしまったことが上げられる。
 
 しかし、ここで敢えて鉄道の復権を考えたい。
 
 日本の鉄道システムは世界でも類を見ない正確で多大な旅客を高速で運行するもので、それが東京という巨大都市を支えながらエネルギーコストを押し下げている事を考えると、鉄道の復権は化石燃料抑制のためには必要な政策である事は間違いない。それを裏付けるようにオバマ大統領はアメリカでも高速鉄道の建設を進めることを表明している。
 では、房総南部という狭い範囲で鉄道が復権する道について、素人なりに考えてみると次のようなポイントが考えられる。
 
1.バスとの棲み分け
 千葉以遠の快速列車は現在多くが横須賀線との相互乗り入れを行っている。これはアクアライン開通前なら東京に次ぐ巨大都市である横浜まで乗り換え無しに行ける利点があったが、アクアライン開通後はショートカットをするバスに対し不利に立つことは明らかである。だからバスが苦手とする範囲に相互乗り入れをするようにダイヤを変えるべきである。
 具体的には現在川越線が埼京線・山手線・りんかい線を経由し新木場までの運行がされているので、これをさらに京葉線や内房線まで延伸し、所沢〜上総湊間の運行とするのである。これにより渋谷・新宿・池袋・大宮などが乗り換え無しで到達できるようになり、その沿線で仕事をするサラリーマンが安価な住宅や海の見える環境を求めて内房線沿線に移転してくる可能性が高い。
 もう一つの路線は、青梅線快速をお茶の水から中央線に導き錦糸町で総武快速線に移し、外房線の一宮まで引き入れ、山と海を結ぶ路線としたい。今でも千葉発松本方面行きの特急あずさは錦糸町からお茶の水までこの軌道を通っているので、後はダイヤの隙間に入れられるかという余力の問題が大きいであろう。
 この両路線が可能となったら上記の埼京内房線と青梅外房線を蘇我駅で同時刻に入線させるダイヤとすることで乗り換えを容易にすることが望ましい。その結果、利用者は一層増えるだろう。
 
2.バスとの競争
 羽田空港のようにバスの有利性が奪えないところは別として東京や新宿線は手法によってはバスとも競争可能である。現在でも定時性では鉄道が上回っているが料金と時間と乗り心地でも勝負するべきだろう。関西や名古屋では私鉄と競合する区間で新快速を運行しているように、房総半島、特に内房沿線に対して同様の新快速を投入することは重要である。
 具体的には京葉線ルートの場合では「君津・木更津・五井・蘇我・海浜幕張・東京」、総武線ルートでは「君津・木更津・五井・蘇我・千葉・船橋・東京」という程度の特急並に駅を飛ばしながら普通乗車券だけで済む列車を導入してもらいたいのである。もちろん、このような列車が運行すれば「巌根駅に停車を!」等と呼びかけることはしない。さらには私鉄との競合区間と同じように、運賃も特例計算でバスと同額以下になるように頑張ってもらえればより望ましいだろう。
 
 巌根駅の乗客が減ってきている状況を改善するため地域も取組を深めて行くが、JRにもまだ出来ることが有るだろうと、快速列車を停める運動の中で考えていた。
 
 ※ 2月6日に図面を付けて一部加筆した