新年度開始に思う | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2010/04/05記 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
新年度が始まった。市役所でもそろそろ引継期間が終わり、新体制でのスタートダッシュが始まることを期待している。 昨年度末の退職者より本年度当初の採用者が少なく、木更津市役所は前年より少ない960人体制で動き始めることになるが、それでも自治体組織は多方面に渡る業務を抱えており、私も議員生活3年を終えようとしているのに全貌を正確に把握しているかと問われると、自信を持ってハイと答えることは出来ない。 市役所はおろか、公務員に準じた仕事もした経験がない他の同期議員にとっては、特に本庁舎以外の組織については存在すら知らなくて予算審査の中で見えてきたものが有る、というような意見もあって、同期当選組議員による『十九の会』では自主的な研修活動を続けてきた。主なものを拾ってみただけでも下表の通りであるが、まだまだ出先機関の一部を覗いたに過ぎないことは自覚している。先月末に当選したばかりの小林議員も来年の選挙までの一年間でどこまで見渡すことが出来るか、なかなか厳しいものが有るであろう。 |
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さて、職員を減らしていく中で、本年度は1部3課の削減を含む改革が行われた。部の削減は土木部と都市部が都市整備部に統合されたことによるものである。その組織の部長として県から派遣されてきた方は、私と同世代であると聞いた。 自分たちの世代が大学を卒業した頃を思い出すと、まだバブル景気が動き始める前で企業の採用も厳しく、優秀な学生も成長途上に有ったコンピュータ関連業界のように専門外に移行することを拒めば、土木技術者は公務員しか行き先が無かった頃である。巨大になった本市の組織を統括するだけでなく、街びらきが近い金田や、解決手腕が求められる千束台など、多くの事案に対応出来るエースを県が送ってくれたと解釈したい。 そう解釈はしても、県の部長に国交省から派遣があり、市の部長には県から派遣が来るという慣例は好きになれない。また、木更津市の部長が県庁に帰ると課長になれないという人事は、県の職員にとって市の職員を遙か下に見る精神風土を造ることになり、地方分権を高らかに唱えても実体が嘘臭く思えてしまう。一度ぐらい国交省の課長級に地方都市の主幹級を採用する事ぐらい見たいが、そうなると東大卒で無い場合は官僚によるイジメが起きることも予見できるため、せめて地域の事に金を出しても口を出すなと言いたいものだ。 職員数を減らしている中で、タイピストや電話交換などのように市役所内で働く非職員も増えている。現在職員も私服で業務に携わっているので、一見してどこまでが職員か解りにくい状況である。製造メーカーの幾つかでは非正規職員による情報漏洩も生じている。内部告発によって危機を向かえる企業は問題を秘匿していた事に原因があるが、愛社意識の欠如によるいたずらな混乱は望むべきものではない。全てをコストの高い職員で実施することは時代に逆行するものだとは解るが、昔より人事管理が難しい時代になったものだと思う。 内部に委託を抱えるだけでなく、施設を丸ごと指定管理者に委託する制度も進められている。管理者は下表のように成っているが、木更津市外の業者も多く、自らのことのように愛情を込めて管理しているかという疑問を持つ声も耳に届く。市内の業者なら必ず愛情を込めるという保証も無いが、可能なら地元で対応できる企業が受託できるまでの提案力や技術力を高める事を期待したい。 |
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指定管理以外でも下水処理場の包括管理とか清掃やゴミ収集の委託など、様々な形態を通じて公共の業務を民間に委ねている。それらは市役所が直営とするより効率的な物事が多いことも事実であるが、機械的に委託するのではなく、その必要があるのかと立ち止まることを忘れないで欲しい。直営でやることによって職員のスキルが上がることも有るだろうと思うのだ。 職員は商社のように必要な事業に的確に企業を対応させる能力が求められる事は解るが、その内容も真に理解して委ねるのでなければ、委ねていること事態がブラックボックス化していくのではと危惧するのである。いつの間にか受託者側が指導権を握っているような事態にならなければよい、と思っているのである。 厳しい財政事情の中で人件費のような固定費を削減することは必要な対応であるが、その個々の対応は本当に適切であろうかと常に検証する立場が必要だと思うし、それが求められているのは議会という組織なのではないだろうか。年度当初の雨の日に、そんな事を考えていた。 |