金田と湾岸道路を考える
2010/04/07記
 昨年末に進出を表明した三井アウトレットパークの影響で、金田地区の販売価格が上昇に向かっているという噂を聞く。その事は県が主体となり事業を進めている金田西地区土地区画整理事業の採算性を向上させ、税金の持ち出しを低下させる効果が生じると供に、市の財政にとっては固定資産税収入の増加にも成る良い兆しであると歓迎したい。
 しかし、一方で進出時期を明言したことによって、今年度からは特に時間との競争を意識した速度感がある対応を要求されることになるだろう。特に問題点はいち早く抽出し、対処することが求められてくるだろうという前提に立つと、早急に考えなければならないことは湾岸道路の整備問題であると考える。
 
 都市再生機構が事業を進めている金田東地区は、都市計画決定を行っている幅員50mの3.1.28号線、通称湾岸道路については、公共減歩として道路用地を確保することが無く、もちろん事業費の中で整備を行わないものとして事業認可を取っている。
 その為、都市計画道路中島中野線は突き当たり道路としての整備であり、なおかつ上位道路である湾岸道路に含まれる物として計上する隅切部分も造りながらその先を造らないと言う、その世界を知る者にとっては理解しがたい対応となっている。
 さてここで、非常に集客力の強い商業施設がアクアラインからの集客を主導線として開業した場合、現在の計画では下図の青実線で示すように中野畑沢線を経由するアクセスルートしか存在しないことになり、連絡道測道部分に大渋滞が発生することが予見される事になる。それを解決し、なおかつ木更津金田料金所の処理能力を高めるためには下図の赤点線に示した湾岸道路部分を経由したルートが求められている。
 
 今年、大きな問題となるだろう事は、この整備を誰が行うかという、事業主体を決める話であろうと予想できるので、それを私なりに考えてみたい。
 
 湾岸道路は先にも書いたように幅員50mという巨大な計画であり、連絡道の橋梁もそれに対応できるように長い支間で飛ばしているが、現在の横断している道路(市道5号線)はBT周辺以外は幅員5m程度に過ぎず、大型車がすれ違うことすら困難な状況である。
 
 さて、当該区間の計画断面を調べると、中心に19.15mの自動車専用道路部分と、両側に12.25mの一般道部分が有ることに気がつく(下図参照)。合計が50mに成らないのは右折レーン等を設けるための余裕幅を含むからだと思うが、自信はない。
 
 自動車専用部分は沿線利用が出来ないので、小浜(港南台)や烏田(羽鳥野)でも保留地として道路公団に売却しているが、一般道部分については沿線利用が有り、さらに今回のように区画整理用地内に進出してくる企業の為に使われる事が明確なので、少なくとも区画整理の範囲内では一般道部分の片側だけでも対面通行として区画整理事業の中で整備するべきであると考える(厳密には左路肩が不足するので0.50mの路肩を1.75mに変更し、整備幅員を13.5mとする事が望ましい)。事業計画上は保留地減歩が公共減歩に変更となるので減歩率に変更をかけずに済むが、事業費の捻出という問題は残るであろう。
 
 一方、アクアラインから区画整理に入るまでの間は用地買収を含めて単独の道路事業として整備する必要が出るであろうが、それについては当該区間が湾岸道路という、国道16号線の延伸部分であるという前提で国交省が整備することが当然であると思う。このような整備はバイパス事業ではよく見る話であるだろう。
 
 筋で考えれば上記のような結論になるが、急いでいるのは市でしょうと都市再生機構や国土交通省千葉国道事務所に押し切られることが無いか、そればかり気になっている昨今である。
 地域が大きく変貌する中で事業費の感覚に麻痺が生じて、何でも市が受け入れることが無いように見守れねばならないだろうと、金田事業のカウントダウンが聞こえてくる中でそんなことを考えていた。